2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素のマスキングを鍵とする有機ボロン酸の新反応化学
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19205007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉野目 道紀 京都大学, 工学研究科, 教授 (60252483)
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Keywords | 有機ボロン酸 / クロスカップリング / 反復合成 / 保護基 / マスキング / 1,8-ジアミノナフタレン / ジボリル化 / 脱水素ホウ素化 |
Research Abstract |
本研究はホウ素の一時的な保護,すなわちマスキングを利用した「炭素-ホウ素結合を保ちながら行う」ボロン酸合成法を開発し,有機ボロン酸の効率的な合成手法の開拓を行おうとするものである。本研究期間において,ホウ素のマスキングを利用した新しいホウ素化合物合成法を開発したので報告する。 (1)一方のホウ素上にジアミノナフタレン(DAN)保護基を導入した非対称ジボロン(pin)B-B(dan)を合成し,これを利用した触媒反応について検討を行った。末端アセチレンに対するジボリル化反応が,イリジウム及び白金触媒によって収率良く進行することを見出した。この付加反応の位置選択性は極めて高く,アセチレンの末端炭素に(dan)B基が結合した付加生成物が得られた。この付加生成物を鈴木-宮浦クロスカップリングに用いると,内部炭素上のB(pin)基で選択的に炭素一炭素結合形成が進行した。 (2)ポリフェニレンビニレンの繰り返し合成に用いるカップリングモジュールとしてのβ-ボリルスチレン類の効率的な合成法として,スチレン類のロジウム触媒脱水素ホウ素化反応を開発した。様々なスチレン誘導体とDAN保護基を有するヒドロボラン((dan)BH)をロジウム触媒存在下で反応させると,スチレン二重結合の末端炭素へのホウ素の導入と脱水素が進行し,β-ボリルスチレン類が高収率で得られた。芳香環上にハロゲン置換基や,ピナコールボリル基を有するスチレン類を反応に用いると,得られた生成物はポリフェニレンビニレンの反復合成における新しいビルディングブロックとして用いることができる。
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Research Products
(7 results)