2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19205012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 誠 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (90209065)
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Keywords | 自己組織化 / ナノ空間 / 反応制御 / パラジウム / 光反応 |
Research Abstract |
本研究では、自己組織化中空錯体の疎水内部空間を反応場とする新規かつ特異的な反応の創出に取り組んだ。研究は、(1)新たな中空錯体の自己組織化構築、(2)自己組織化空間を利用した通常では進行しない新規反応の探索、(3)自己組織化空間の触媒的活用、(4)通常の条件下では合成・単離不可能な不安定化合物の合成と解析の4項目に従って遂行した。以下、各項目の研究において得られた成果を記載する。 (1)新たな中空錯体の自己組織化構築 M_<12>L_<24>球状錯体を構成する配位子の折れ曲がり角度をさらに広げることで、M_<24>L_<48>球状錯体の構築に成功した。これまで、NMRにより目的の構造を構築できていることを推測していたが、質量分析により単一成分のM_<24>L_<48>球状錯体が構築されていることを初めて確認した。 (2)自己組織化空間を利用した通常では進行しない新規反応の探索 M_6L_4かご状錯体の外部に不斉源を導入することで、錯体内部空間の形状やサイズを変えることなく、生成物の不斉を制御できる反応場を構築した。アセアントリレンは非常に安定な芳香族化合物であり、通常の条件下では反応性を示さない。しかし、かご状錯体内に包接させることで、熱・光どちらに対しても反応性を示した。 (3)自己組織化空間の触媒的活用 アセナフチレンの光二量化反応は、M_6L_4かご状錯体内では立体選択的に進行する。加熱しながら光照射することで、ゲスト分子の交換速度が速くなり、光反応が触媒的に進行することを見出した。 (4)通常の条件下では合成・単離不可能な不安定化合物の合成と解析 ネットワーク錯体を反応場として用いることにより、不安定中間体が安定化される。今回、結晶相内で反応を行うことにより、イミンの構造をX線により直接観察した。反応後もネットワーク錯体の結晶性は保たれており、通常の固相反応とは異なり、錯体内部は流動的であることを証明した。
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