2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19205012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 誠 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (90209065)
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Keywords | 自己組織化 / ナノ空間 / 反応制御 / パラジウム / 光反応 |
Research Abstract |
無機ナノ粒子は粒径や形状に応じた様々な性質を示すことから、精密な合成手法が求められている。本研究では、一義構造を有する中空錯体をテンプレートとしたナノ粒子の合成法を開発し、これまで粒径制御が困難であった直径5nm下のシリカナノ粒子の精密合成に成功した(Nature Chem.2010,2,25-29.)。グルコース24個で内部修飾した4.6nm径の中空球状錯体の存在下、170等量のテトラメトキシシラン(TMOS)の縮合反応を室温で4日間行うことにより、錯体の内部空間でシリカナノ粒子を合成した。各種NMR、質量分析、TEM観察により、非常に単分散性の高い3nm径のナノ粒子(M_n=11000,M_n/M_n<1.01)が錯体内部で生成したことを確認した。単結晶X線構造解析の結果、ナノ粒子の合成後も球状錯体の骨格構造が明確に維持されていることが示された。また、空間サイズを拡張した球状錯体の利用やTMOSの添加量の制御により、生成するシリカナノ粒子の分子量と粒径を自在に調整可能であることを見出した(5000-31000Da,2-4nm)。 トリアジン骨格を有する三座配位子とヨウ化亜鉛を末端に官能基を有するトリフェニレン誘導体の存在下で錯形成すると、細孔性錯体が得られた。この細孔性錯体内で1,3-双極子付加環化反応(Huisgen反応)とDiels-Alder反応を試みた。アジトとアルキンのHuisgen反応は通常、溶液条件下では選択性に乏しいが、細孔内では選択的に1,4-付加体を与えることが^1H NMRから分かった。結晶構造解析の結果、細孔内でのアルキンの配向制御により選択性が発現することが示唆された。また、ジエンとマレイミド誘導体とのDiels-Alder反応では、エンド体が位置および立体選択的に生成した。上述のいずれの反応も単結晶―単結晶で進行するため、生成物の構造はX線結晶構造解析で確かめることができた。
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