2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19205013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (20174279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 学則 東京理科大学, 理学部, 講師 (80359778)
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Keywords | 炭素-炭素結合切断 / 炭素-炭素結合形成 / 遷移金属触媒 / ロジウム / シクロブタノール / インダノール / 不活性結合活性化 / 骨格転位 |
Research Abstract |
従来、化学的に不活性とされてきた炭素-炭素結合を切断し、新たな炭素-炭素結合形成に用いることで革新的な合成が実現される。本研究では遷移金属触媒を用いることでこの実現を目指した。検討の結果、ロジウム触媒を用いることで四員環骨格であるシクロブタノールの骨格転位反応が進行し、五員環骨格であるインダノール誘導体が得られることを見いだした。この反応の機構は以下のように考えられる。まず、ロジウム(I)錯体とシクロブタノールからロジウムシクロブタノラートが生じる。続いてβ-炭素脱離反応によってケトン部位が生成するとともにアルキルロジウム中間体となる。ここから1,4-ロジウムシフトが進行することでアリールロジウムとなり、これが近傍に存在するケトン部位に付加することで5-エキソ環化が進行し、インダノールが得られたものと考えられる。興味深いことにこの反応は用いる配位子によってジアステレオ選択性が変化し、Difluorophosを用いることで9:1の選択性で生成物を得ることができた。さらにキラルなホスフィン配位子を有するロジウム錯体を用いるとエナンチオ選択的に反応が進行し、最高99%eeで四級不斉炭素を有する光学活性なインダノールが得られた。この反応は炭素-炭素結合の切断と形成という二つの相反する過程をうまく組み合わせることで四員環から五員環への骨格転位反応が進行し、光学活性化合物を与えることができるという点で興味深い。
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Research Products
(4 results)