2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19205014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 明 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (80127282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩靖 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (00314352)
高島 義徳 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40379277)
橋爪 章仁 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70294147)
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Keywords | シクロデキストリン / 超分子ポリマー / ヒドロゲル / 包接挙動 / ダイナミクス / ダイマー / フリップ現象 |
Research Abstract |
本研究ではシクロデキストリン(CD)と主鎖あるいは側鎖にCDの包接部位を導入した高分子との錯体形成における動的機能制御を行った。(1)高分子主鎖にゲスト部位を有する分子とCDとの包接錯体形成:ビピリジニウムとアルキル鎖を連結したユニット(以下ビオロゲンと記す)を含むオリゴマーあるいはポリマーとCD単体またはCDダイマーとの包接挙動について検討した。更に、ビオロゲンポリマーとCDダイマーを用いて超分子ヒドロゲルを構築した。ビオロゲンオリゴマーはα-CDおよびβ-CDとそれぞれ異なる速度で包接錯体を形成することがNMR測定により明らかになった。α-CDダイマーを用いた場合、CDダイマーの包接により軸分子が架橋され、ゲル化した。一方、α-CDとβ-CDを連結したCDダイマー、あるいはβ-CDダイマーを用いた系ではゲル化は観測されなかった。これらの異なる挙動はビオロゲンポリマー上でのCD分子の移動速度の違いに起因していると考えられる。(2)高分子側鎖にゲスト部位を有する分子とCDとの包接錯体形成:ピリジニウム基を炭素数10のアルキル鎖でポリビニルピリジンの側鎖に導入したポリマーに対してα-CDを含むポリマーが包接する挙動を観察した。ゲストポリマーとα-CDを混合すると、側鎖のメチレンピークの分裂が観察され、α-CDが側鎖のゲスト部位を包接していることが確認された。このポリマーとα-CDを導入したプルランを水中室温にて混合したところ、高分子量ゲストポリマーの系では硬質なゲルが、低分子量ポリマー系では軟質なゲルが得られた。これらのゲルは加熱することで流動性が増大し、低分子量ポリマー系では60℃でゾルに変化することを見出した。(3)本研究遂行中、CD分子が柔軟なアルキル鎖で連結されたCDダイマーの構造についての詳細な検討を行ったところ、非自己包接体とCDがアルキル鎖を貫いた自己包接体との平衡状態にあることを見出した。これはアルキル鎖を修飾したCDの修飾ユニットの宙返り(フリップ)に起因していることがわかった。エチレングリコール鎖およびスチルベンを介して連結したCDダイマーでは片方のCDがエチレングリコール鎖を乗り越え、中央の安定なスチルベン部位を包接し、エチレングリコール鎖がループ構造を形成することがわかった。
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