2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19205015
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 貴義 Hokkaido University, 電子科学研究所, 教授 (60270790)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 定 北海道大学, 理学研究院, 教授 (00155011)
|
Keywords | 分子ローター / 分子磁性 / 超分子 / 強誘電性 / 分子性導体 / ジチオレン錯体 / NMR / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
1.m-フルオロアニリニウム/ジベンゾ[18]crown-6超分子カチオンを含む[Ni(dmit)_2]^-結晶が、ローター構造の反転に起因する強誘電性を示したことから、同様の分子設計により、強誘電性結晶の開拓を行った。ローター部分により回転のスムーズなフルオロアダマンタンを導入した系では、常誘電性にとどまる系と強誘電性を示す可能性がある系を作り分けることが出来、回転ボテンシャルの設計が重要であることを見出した。また、全く新たな発想から、ビリジニウムを初めとする含窒素複素環をローターとして用いた系を開拓した。今後、この系の精査を行うことにより、新たな強誘電体分子設計指針の提出など、当初の計画を凌駕する成果が得られると期待している。 2.回転の機序について、19F-NMRを用いた検討を行った。得られたスベクトルは解釈が困難なものであった。何らかの異常が起こっている可能性が高く、今後、実験・理論両面から追求を行う。 3.[Ni(dmit)_2]^-を部分酸化塩については、引き続き検討を進めた。電気伝導性結晶の中での分子回転の可能性が示唆される結果が得られた。 4.回転ボテンシャルの設計を進めた。ジシクロヘキサノ[18]crown-6を用いることで、ノコギリ型ボテンシャルを実現する可能性があることを見出した。ノコギリ型ボテンシャルと電場による回転制御と組み合わせて、"1方向回転の可能性を示す"という課題解決にむけての足がかりが得られた。
|