2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19205015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 貴義 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (60270790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 定 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00155011)
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Keywords | 分子ローター / 分子磁性 / 超分子 / 強誘電性 / 分子性導体 / ジチオレン錯体 / NMR / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
m-フルオロアニリニウム/ジベンゾ[18]crown-6超分子カチオンを含む[Ni(dmit)_2]結晶における、ローター構造の反転に起因する強誘電性について、様々な分子設計を施すことにより、引き続き強誘電性結晶の開拓を行った。回転子として、フルオロアダマンタンアミニウムを導入した系では、クラウンエーテルを変えることにより、回転ポテンシャルを1極小、2極小および4極小に変えることができ、それに伴い誘電応答が大きく変化した。特に、4極小ポテンシャルを持つ系は、これまでに得られた2極小ポテンシャルに基づく強誘電体と異なり、分極軸を平面内で制御できる可能性があることから、応用展開に有利であり、これまでにない分子性強誘電体開拓へ向けての足がかりが得られた。 また、回転子のアンモニウム基をクラウンエーテル空孔に包接させることで得られる通常の分子ローター構造とは異なる系への展開を進めた。新たな発想に基づいて、ピリジニウムを初めとする含窒素複素環をローターとして用いた系を開拓した。とりわけ、ピリダジンのモノカチオンを用いた場合、プロトン化した窒素原子とクラウンエーテルの酸素原子との間に、水素結合が形成し、それを軸としてピジダジン環が結晶内で回転することが判明し、超分子カチオン構造の動的過程に基づく大きな誘電応答が得られた。分子設計の自由度が上がり、今後の展開に向けての大きな成果と位置づけられる。 この他にも、導電性結晶中への分子回転子の導入、光学活性な回転環境導入による非対称ポテンシャルの構築等の試みを進め、ブラウンラチェット機構実現可能性について精査した。さらに、強誘電体開拓の新たな展開として、強磁性を示すカウンターアニオンと分子ローター構造を組み合わせることで、マルチフェロイック系が得られるものと考え、予備検討を行った。
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Research Products
(7 results)