2009 Fiscal Year Annual Research Report
環状チアジルラジカルおよび関連物質の半導体特性とその展開
Project/Area Number |
19205018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿波賀 邦夫 Nagoya University, 物質科学国際研究センター, 教授 (10202772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 裕 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10260374)
松下 未知雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80295477)
吉川 浩史 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60397453)
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Keywords | 有機ラジカル / 有機半導体 / 過渡光電流 / 光学セル / 有機エレクトロニクス |
Research Abstract |
チアジル系のバイラジカルBDTDAの真空蒸着膜を作製したところ、基板によらず、分子面を基板に平行にして2量化を伴いながら積層することが分かった。ITO|BDTDA(300nm)|Alなるサンドイッチセルに-3Vのバイアスをかけ、て強度1.59mW cm-2の緑色レーザー(532nm)でITO側から光照射したところ、on/off比1.8×10^2、光応答度3.5mA/Wの大きな光電流が観測された。これは、現在市販されている有機ポリマー系の光センサーの特性に匹敵する。さらに、ITO|BDTDA(300nm)|Al光学セルにバイアス電圧を印加せず、同様な光照射実験を行ったところ、定常状態に達する前に、巨大過渡電流を見出した。ピーク値の電流を維持できれば、その内部量子効率は70%にも達する。これにはコンデンサー的なメカニズムが想像できるが、ここまで巨大な過渡電流の発現は希少である。光照射による電荷分離の後、Al電極界面で生じた電子は電極に吸収されるが、ITOとAlの仕事関数の差によってITO側まで移動する。その一方、ホール移動度は小さいためITOからBDTDA薄膜に再突入することはなく、これが巨大過渡電流の起源であると解釈した。
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