2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNAの構造と反応性に関するケミカルバイオロジー研究
Project/Area Number |
19205023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 弘 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (50183843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板東 俊和 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20345284)
篠原 憲一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (70378561)
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Keywords | 構造機能解析 / DNA / 光反応性 / 修飾塩基 / 5-ハロウラシル |
Research Abstract |
本研究では、DNAの構造と機能の制御に関する化学的研究を推進することによって、遺伝子発現に連動したDNAのダイナミックな構造変化を解明し、特定遺伝子の一般的な発現制御法の開拓を目的としている。本年度も、転写開始領域近傍で観察されるグアニンに富む連続配列や、ヒト染色体末端のテロメア配列、GGGTTA繰返配列で形成されるG-4本鎖構造と機能に関して研究を進めた。単分子FRET測定技術を4本鎖構造の確認に応用することにも成功し、これまでの研究成果を活かして、光化学から遺伝子有機化学全般に関わる構造特異的な機能評価を実施した。特に、ヒトテロメア配列の主な4本鎖構造を、DNAフラグメントのNMR解析に基づいて詳細に解析し、論文として報告した。 加えて、申請者が研究を進めている光反応によるDNA構造解析法は,5-ハロウラシル(XU)を光プローブとして用いることにより,大きく変化するDNAの局所構造を推定することができる。DNA中のチミンをXUに置換することは可能であり、今年度は、5-ハロシトシン(XC)の光プローブとしての可能性を新たに探索した。XUの代わりにXCを用いることが可能になれば、細胞内へ適用可能な塩基配列の範囲が広がり、構造解析技術としての汎用性が高まると考える。実際に、特定位置のシトシンをXCに置換したDNAフラグメントに対する光反応について詳細に解析を行なった結果、構造特異的なシトシンラジカルによる水素引き抜き反応とリボノラクトンの形成が起きていることを確認した。 現在、最終年度での細胞生物学的な応用を目指してXUとXCの構造に起因した基礎的な光反応性の確認、及び大腸菌DNA内におけるG-カルテット構造の光反応を活用した検出技術の検討を進めている。
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