2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNAの構造と反応性に関するケミカルバイオロジー研究
Project/Area Number |
19205023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 弘 京都大学, 理学研究科, 教授 (50183843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板東 俊和 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20345284)
篠原 憲一 京都大学, 理学研究科, 助教 (70378561)
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Keywords | 構造機能解析 / DNA / 修飾塩基 / 光反応性 / 5-ハロウラシル |
Research Abstract |
申請者のグループではこれまで光の細胞透過性に着目し、細胞内のチミンを5-ハロウラシル(XU)で置換し、その光反応性を用いてDNAの構造解析を行なうことを目指し基礎研究を進めてきた。本研究では、DNAの構造と機能の制御に関する化学的研究を推進することによって、遺伝子発現に連動したDNAのダイナミックな構造変化を解明し、特定遺伝子の一般的な発現制御法の開拓を目的としている。 本年度は、転写開始領域近傍で観察されるグアニンに富む連続配列や、ヒト染色体末端のテロメア配列、GGGTTA繰返配列で形成されるG-4本鎖構造と機能に関する解析研究が進展した。中でも原子間力顕微鏡(AFM)を用いる単分子測定技術をヒトテロメア配列が形成する4本鎖構造の熱力学的な解析技術として応用することに成功した。加えて、申請者のグループのこれまでのDNA化学で培った研究手法を駆使して、ヒトテロメア配列が形成する4本鎖構造に特異的に結合する新規機能分子、キラルウェッジの結合特性や生物活性を詳細に評価・解析した結果をまとめ、論文として報告した。 5-ハロシトシン(XC)の光プローブとしての可能性の探索も進んでいる。XUの代わりにXCを用いることが可能になれば、細胞内へ適用可能な塩基配列の範囲が広がり、構造解析技術としての汎用性が高まると考える。現在、細胞生物学的な応用が重要な課題であり、XUとXCの構造に起因した基礎的な光反応性の確認、及び、大腸菌DNA内に対する光反応を活用した構造検出技術の開発を目指している。
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