2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19205027
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 淳夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30359690)
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Keywords | 局在電子 / リチウム電池 / 核生成 / 結晶成長 / 正極 / オリビン / 鉄 / マンガン |
Research Abstract |
元来絶縁体(10^<-10>Scm^<-1>)であるLi_xFePO_4、において高速充放電が可能な理由は必ずしも明らかになっておらず、充放電機構の解明が望まれている。Li_xFePO_4における二相分離型電極反応では、リチウムのb軸方向の協力的一次元拡散によって、bc平面に沿って形成される相境界のa軸方向への一次元移動が支配的であるという説が支持されている。一方で、多数の粒子からなる合剤電極においては、凝集体の外側の粒子から、あるいは電極厚み方向に順次反応する不均一反応を起こす可能性も指摘されている。本研究では、クロノアンペロメトリーの応答曲線から、多粒子系電極における反応の律速過程とその支配因子について詳細に検討した。様々な条件下での実験を行った結果、1次粒径が比較的大きく、ポテンシャルステップ幅が小さく、電極厚みが薄い条件下では、充電方向、放電方向のいずれの方向に電圧をステップさせた場合でも、核生成・成長を反映する電流応答を示すことがわかった。抽出した条件下で、電流応答曲線に、Kolmogorov-Johnson-Mehl-Avrami (KJMA)式I=Ct^<n-1>exp(-kt^n)を適用し、反応速度定数kとAvrami指数nを算出した。Avrami指数nは核成長の次元等の成長機構に関する有用な情報を表し、各温度でn=1~1.2となった。これは相境界のa軸方向への1次元移動が支配的であることと合致する。また、反応速度定数kの温度依存性を(3)式を用いてArrheniusプロットに展開し(Fig.4)、直線の傾きから核生成・成長の活性化エネルギーE_aを算出したところ、充電方向で42 kJ mol^<-1>、放電方向で40 kJ mol^<-1>と算出され、ほぼ同程度の値となった。この値は、第一原理計算から算出されたLiFePO_4におけるリチウムのb軸方向への一次元拡散の活性化エネルギー(26 kJ mol^<-1>)よりも大きく、核生成・成長が律速段階であることとも整合する結果となった。
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