2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19205028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今中 信人 Osaka University, 工学研究科, 教授 (30192503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増井 敏行 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00304006)
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Keywords | 窒素酸化物 / 粒子状物質 / 排ガス浄化触媒 / 希土類酸化物 / 立方晶C型構造 / 立方晶蛍石型構造 / 酸化還元 |
Research Abstract |
窒素酸化物(NO_x)は、人体に有害であるだけでなく、酸性雨や光化学スモッグの原因物質としてよく知られている大気汚染物質である。窒素酸化物を分解浄化する方法としては、炭化水素、尿素、アンモニア等を還元剤として用いる方法が考案されているが、最も理想的な分解法は、触媒との接触のみによって無害な窒素と酸素へと分解する直接分解法である。本研究では、結晶構造中に大きい隙間を有する立方晶C型希土類三二酸化物が、一酸化窒素の直接分解に対して優れた触媒活性を示すことを見いだした。さらに、これまでに当研究室で開発された(Gd_0.7Y_0.26Ba_0.04)2_O_2.96触媒の浄化率が85%であったのに対し、新開発の(Y_0.69Tb_0.30Ba_0.01)2_O_2.96+δ触媒を用いることにより、還元剤を添加していないにもかかわらず、900℃においてNOのN_2とO_2への完全浄化(浄化率100%)を実現した。 また、NO直接分解触媒の課題としては、酸素共存下における活性の低下が指摘されており、(Gd_0.7Y_0.26Ba_0.04)2_O_2.96触媒についても、800℃、10%の酸素共存下での浄化率はわずか22%であった。しかしながら、本研究で開発した(Y_0.69Tb_0.30Ba_0.01)2_O_2.96+δ触媒は、800℃で10%の酸素共存下においても41%という高い浄化率を示し、酸素共存下におけるNO直接分解の触媒活性をほぼ倍増させることができた。 一方、ディーゼル自動車の排ガスには、窒素酸化物に加え、粒子状物質が存在する。この粒子状物質は環境に悪影響であるだけでなく、人体に吸い込まれると肺ガンなどを引き起こす危険性があることから、その排出規制が年々厳しくなっており、その排出を低減することは極めて重要である。そこで、この粒子状物質を低温で酸化することができる触媒の開発を目指し、Ce_0.47Pr_0.21Bi_0.32O_1.805複合酸化物を開発した。従来のCe_0.64Zr_0.16Bi_0.20O_1.805複合酸化物触媒では、粒子状物質の完全燃焼温度は390℃であったのに対し、本研究で開発したCe_0.47Pr_0.21Bi_0.32O_1.805触媒を用いることにより、粒子状物質の完全燃焼温度を345℃まで引き下げることに成功した。
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