2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19205030
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授 (90186304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 全章 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10363384)
黒岩 敬太 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (70336006)
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Keywords | 一次元錯体 / スピン転移 / 自己組織化 / トリアゾール / 鉄イオン / 円偏光二色性 / 疎媒性収縮 |
Research Abstract |
キラルなアミノ酸を含むアニオン性脂質分子で被覆された、新しい脂溶性一次元Fe(II)トリアゾール錯体を合成した。この錯体(固体状態)は室温で無色であり、高スピン状態にあることが判った。一方、この錯体をトルエンに分散すると、紫色となった。即ち、溶液中では低スピン状態が安定化されることが明らかとなった。通常、スピン転移錯体は、溶液中で低スピン状態が不安定化される。今回の観察結果は、従来の常識を覆すものであり、イオン性のFe(II)トリアゾール錯体が、非極性媒体であるトルエン中において疎媒性収縮をうける結果、配位子場分裂が大きくなったものと考えられる。このように、このような疎媒性収縮による溶液中低スピン状態の安定化効果を初めて発見した。次に、溶液状態におけるスピンクロスオーバー特性とアミノ酸のキラリティの影響を評価した。室温以上の温度で、低スピン→高スピンの可逆的なスピン変化を示した。また、円偏光二色性スペクトルにおいては、540nm付近の低スピン錯体のd-d遷移に基づく吸収領域に正負のCDシグナルが観察された。Fe(II)トリアゾール錯体主鎖はアキラルであるため、対アニオンである脂質分子に存在するキラリティを反映して錯体自身の吸収にCDシグナルが誘起されたと考えられる。このように、脂質被覆型の新しい一次元トリアゾール錯体を開発し、その溶液中における特異な低スピン安定化効果ならびにスピン変化を見いだした。
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Research Products
(4 results)