2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19206002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 義茂 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授 (50344437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 誠司 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30397682)
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Keywords | スピン / 増幅 / スピントロニクス |
Research Abstract |
1)金属強磁性体における増幅作用の研究 H19年度はまずトンネル磁気抵抗素子に見られる負性抵抗の物理的機構を明らかにするために以下のことを試みた。(ア)負性抵抗の発現とともに高周波が発生することを確認した。しかし、その周波数は当初予想されていた磁気共鳴の周波数(5GHz前後)のみではなく、特に低周波側で大きくなっていることを見出した。これは、素子内の磁化がカオッティックな運動をしているためと考えられる。この起源としては、(1)熱揺らぎが電流により増幅されたもの、(2)系の非線形性により誘起されたカオスの二つの可能性が考えられる。(イ)定電流駆動および定電圧駆動に対する応答の違いを調べた。その結果、定電圧動作では負性抵抗が現れるが、定電流動作ではスイッチングとなることが確認された。この原因を究明するために素子の高周波特性を測定した結果、素子には0.1pF程度の寄生容量があり、高周波回路としてみた場合、定電圧に近い動作をさせることは可能だが、たとえ、定電流電源でドライブしても定電流動作とならないことが分かった。このことを解決するためには素子の寄生容量を減らすとともに素子近傍に素子と直列に高抵抗を設置する必要があることが分かった。 スピントルクによる増幅作用の理論的な見積もりを行った。その結果、スピントルクを用いた場合、素子が小さくなるほど増幅が容易となるが、磁場によるトルクを用いた場合は素子が大きいほど増幅が容易であることを見出した。 2)非磁性体へのスピン注入によって発生する増幅作用の研究 マイクロストリップライン局所スピンダイナミクス測定法を用いて、CoとCuからなるグラニュラー系に注入されたスピンの検出とダイナミクスの測定を試みた。GMRが出ることを確認したうえでCo-Cuグラニュラーワイヤーを作製して高周波ノイズおよびスピントルクダイオード効果の測定を行ったが信号が得られなかった。
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