Research Abstract |
本研究では,面発光レーザの波長制御技術開拓と面発光レーザ構造を用いた位相・偏光状態制御の光信号処理を目的として研究を進め,以下の成果を得た. (1)多波長面発光レーザアレイ 凹凸基板を用いた多波長面発光レーザの波長間隔の精度向上を目指して,ドライエッチングプロセスによる凹凸基板形成を行い,波長間隔精度を15%以内に抑えることに成功した.また,多波長VCSELアレイの出力を1本の光ファイバへ合波する合波回路として,テーパ中空導波路を応用することを提案し,マルチモードファイバへ直接結合する事が可能であることを示した.反射面に高反射率(≧99.5%)であるBragg反射鏡を導入することにより,挿入損失1dB以下の低損失化と,VCSELアレイのピッチを縮小化し,テーパ角を最適化することにより,高密度VCSELアレイの合波への適用・更なる多チャンネル化に対応可能であることを示した. (2)光位相シフタとその光ファイバ非線形効果の補償 面発光レーザ構造を用いて入射光強度に対して大きな負の位相シフトを与える位相シフタを製作し,その10ピコ秒クラスの高速応答を実証して,光ファイバ伝送中の非線形効果を光学的に補償する新手法の提案し,実際に10psec幅の短パルスに対して,光ファイバ中の自己位相変調を光学的に補償できる可能性を示した. (3)金属ナノ構造による面発光レーザの偏光制御 金属ナノロッドを表面に装荷した面発光レーザの偏光制御手法を提案し,ナノロッドの形状制御により面発光レーザの偏光特性を自在に制御できることを実証した. (4)面発光レーザ構造を用いたスローライト光デバイス 面発光レーザ構造を用いて,高反射率で形成された導波路で光を減速したスローライトを生成し,大幅に光回路を微小化するスローライト光回路を提案し,大きさ20ミクロンの超小型光変調器,光検出器の実証に成功した.また,スローライトを用いた超小型光スイッチを提案し,その小型化の設計とスイッチング特性を提示した.
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