2008 Fiscal Year Annual Research Report
トラクション搬送される光学フィルムの損傷予測モデルの定式化とその応用
Project/Area Number |
19206021
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橋本 巨 Tokai University, 工学部, 教授 (40130877)
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Keywords | 高度製造技術 / 柔軟連続媒体 / ウェブハンドリング / 巻き取り理論 / ウェブデェフェクト / トライボロジー / 弾性学 / 最適化理論 |
Research Abstract |
プラスチックフィルムや紙などの連続柔軟媒体はウェブと総称され,新聞などの印刷物や写真,磁気テープなどの情報記憶媒体として,また液晶フィルムなどのディスプレイ用素材として極めて有用である.ウェブを搬送し,途中処理工程を経て最終的に巻き取る技術は“ウェブハンドリング技術"と呼ばれ,広範囲の産業分野において導入されている重要基盤技術である,とりわけ昨今における機械の高効率化,高性能化のニーズの中で,製品精度を損なうことなくウェブを安定して走行させ,かつ適切な処理を行うことがキーテクノロジーの一つとなってきている.平成20年度は,重要技術課題の1つであるフィルム巻き取り時のしわ,巻きずれなどのディフェクトの防止を目的とした巻き取り張力の最適化とその実験的検証に取り組んだ.フィルム素材の粘弾性や巻き込み空気層によるヤング率の低下などの影響を考慮したフィルム巻き取り時における巻き取りロール内部の応力解析手法と巻き取り時の張力をロール半径方向に自由に変化させる手法を組み合せた最適化手法を考案し,最適化計算を実施した.また同手法の有効性を実験的に検証するために,独自に設計製作した試験装置を用いて巻き取り内部応力の測定を実施した.実験に際しては,測定原理の異なる3つの巻き取り内部応力の測定法を開発し,それぞれについて応力測定を行った.その結果,理論予測値は実験値とよく一致することが確認され,最適化巻き取りロールの内部応力はその他従来の巻き取り手法による応力に比べて極めて良好な状態であることが確認された.さらに巻き取りロールに落下衝撃を加える衝撃試験により,巻きずれ防止効果を検証した.その他に極薄ウェブの低張力下における搬送時しわ発生メカニズムの解明とその防止法にも取り組み,極めて良好な結果を得ている.
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