2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19206028
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菅野 重樹 Waseda University, 理工学術院, 教授 (00187634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 浩康 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (30339692)
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Keywords | ロボティクス / 精密機械システム / 人間機械システム |
Research Abstract |
協調作業中に人間との身体的な接触・衝突を生じ得る人間共存ロボットには,衝撃吸収性の高い粘弾性被覆と外力追従性に優れた受動柔軟関節を備えておく必要がある.この考えをロボット全身設計に応用するためには,安全性の低下を招く体格・重量の増大を避けつつ設計を進める新たな方法が必要となる.そこで本研究では,外力追従性と衝突安全性を確保しつつ,小型軽量化を達成可能な衝突安全被覆と受動柔軟関節の実際的な設計手法を導出することを目的とした. 衝突安全被覆設計ではまず,頭部傷害基準HICと傷害発生確率の関係を表すリスクカーブに着目し,AIS2(骨折等)の傷害発生確率を5[%]以下とする新たな安全基準を設定した.次に,粘弾性素材の選出ならびにアーム部位ごとの最薄被覆設計を行うために,加速度センサを内蔵した頭部インパクタと1自由度受動柔軟関節アームを用いて衝突実験を実施し,被覆の種類・厚さや各種衝突パラメータとHICとの関係性を明らかにした.ここで得られた対応データとリスクカーブを照合し,等身大ヒューマノイドを想定した安全被覆設計を行った結果,部位によらず5[mm]以下の被覆で安全基準を満足できることが確認された. 小型受動柔軟関節設計に関しては,受動機構の小型化と追従性・制振性のトレードオフ問題を解決するため,バネ定数-最大ねじり変位平面上でバランス設計する手法を案出した.また,機械粘性・弾性によらず良好な人間への追従性および振動抑制を達成可能な位置制御器ベースの追従・制振制御系を新たに構築し,柔軟関節試験機を用いて人間追従実験で評価を行った.その結果,小型化のために最大ねじり変位に制約を設けた低機械弾性でも,長寿社会対応ドアの開閉力より小さな力で操作できる程の良好な追従性が達成できること,ならびにζ=0.1程度の低機械粘性でも振動抑制が可能であることが示され,本手法の有用性が確認された.
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