2007 Fiscal Year Annual Research Report
InAs量子カスケードレーザの次元性の制御とその効果
Project/Area Number |
19206033
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 英男 Tohoku University, 電気通信研究所, 教授 (00152215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 啓太 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (40333893)
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Keywords | 量子井戸 / 高性能レーザ / トンネル現象 / テラヘルツ / 赤外材料・素子 |
Research Abstract |
InAs量子カスケードレーザの磁場によるキャリアの低次元化がレーザ発振特性に及ぼす影響を調べるために、本年度は低温磁場印加時における電気・光学特性を評価する測定系を構築するとともに、InAs量子カスケードレーザの一層の高性能化を目指して素子の熱抵抗等の評価を行なった。さらに磁揚によるキャリア閉じ込め効果をテラヘルツ帯においても検証するため、GaAs/AlGaAsテラヘルツ量子カスケードレーザを作製し、発振に成功した。以下にその成果の概要を示す。 (1)低温磁場中における電気・光学特性評価系の構築 新規購入した非磁性除震台及び長波長用温度可変インサートを立ち上げ、低温磁場中における量子カスケードレーザの電気・光学特性を評価する測定システムを構築した。 (2)InAs量子カスケードレーザの熱抵抗の評価 高温連続発振に向けて発振波長6μmのInAs量子カスケードレーザを作製し素子の熱抵抗を導出した。温度220Kでレーザ駆動パルス電流のデューティ比を変え素子の温度上昇を見積もることで熱抵抗を導出したところ30K/W程度であることがわかった。 (3)テラヘルツ量子カスケードレーザの作製 GaAs/AlGaAsを用いてテラヘルツ量子カスケードレーザを作製した。発振波長は78μm、閾値電流密度は0.9kA/cm2であった。観測された最高動作温度(103K)はsingle plasmon waveguideを用いた構造で報告されている最も高い動作温度に近い温度であった。又閾値電流密度の温度依存性を検討したところ、温度50K以上では熱励起型縦光学フォノン散乱が閾値電流密度を増大させる主な原因であることがわかった。
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