2009 Fiscal Year Annual Research Report
建物の制振効果を損なう種々要因の分析と解決法の提案
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19206058
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
笠井 和彦 Tokyo Institute of Technology, 応用セラミックス研究所, 教授 (10293060)
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Keywords | 制振構造 / 鋼構造 / 柱梁接合部 / ガセットプレート / 鋼材ダンパー / 粘弾性ダンパー / 弾塑性スリップ型架構 / 弾塑性バイリニア型架構 |
Research Abstract |
制振構造の性能は、ダンパーと架構のバランスに大きく影響される。弾性と仮定した架構が、種々の原因により塑性化する場合、特定層への損傷の集中が起こり、期待された制振効果が損なわれる場合が生じる。また、設計地震動において架構の塑性化・非線形化避けられない制振構造もある。2009年度は、これらの問題に関する検討がよく進んだと言える。架構が弾塑性バイリニア型(例えば通常の鋼構造)の場合、架構が弾塑性スリップ型(例えば軽量鉄骨構造や木質構造)の場合について、設計地震動に対し定められた目標層間変形角を、各層均一に満たすような制振設計法を開発・提案した。架構塑性化による制振構造全体の剛性の減少、等価減衰の増加を考慮しながら、目標層間変形における各層の等価剛性を理想的な分布にするよう制振部材の設定をすることで、特定層への変形集中が抑えられ、層間変形がほぼ各層均一になることを示した。次年度は、剛性劣化型(例えば鉄筋コンクリート造)へと展開する。 もうひとつの成果は、これまで作成法が曖昧で、時には制振効果を過大評価することもあった、制振構造全体の時刻歴解析モデル化の問題に対し、ひとつの解決策を提示できたことである。以前に研究代表者が提案した制振構造のバネ系への変換法を、多層制振構造に拡張したものである。架構のせん断・曲げ変形の両者をせん断棒で模擬することができ、それゆえ既往せん断棒モデルと対比して、合理的、正確、簡便なモデル化手法を提案することができた。せん断棒モデルに固執した理由は、設計時に架構とダンパー(あるいは支持部材との直列結合である付加系)は並列に考えることが殆どであり、本せん断棒モデル化が、時刻歴解析だけでなく、制振の設計法にも有用なためである。今後は、これを現実的な設計例に適用し、設計マニュアルなどにも記述したい。これにより、実務での健全な制振構造の普及に寄与できればと考えている。
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Research Products
(5 results)