2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトコンピューティングを核とした建築・人間・設備システムの最適化の研究
Project/Area Number |
19206063
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田邉 新一 Waseda University, 理工学術院, 教授 (30188362)
|
Keywords | エネルギー効率化 / ネットワーク / リモートセンシング / 建築環境・設備 / ソフトコンピューテング |
Research Abstract |
本研究は、建築物のエネルギー消費量の削減と居住者の知的生産性・快適性のバランスを最適化することを目的としている。平成21年度は、(1)空調・設備システムと、(2)室内環境と知的生産性および人間行動に関する研究を実施した。空調設備システムとしては、潜顕熱分離個別空調システムを対象とした。このシステムは、潜熱処理を担当する吸着型外調機と、顕熱処理に特化し、蒸発温度を上げることが可能な高顕熱型ビル用マルチで構成されている。実オフィスにおいて、一般型ビル用マルチと第1種換気を用いた従来型空調システムと、潜顕熱分離空調システムを比較する被験者実験を行い、省エネルギー性と執務者の快適性・作業性を評価した。実験では、空調設備システムおよび室内環境のデータを自動取得し、被験者がパソコンを用いて行った、作業や申告のデータを回収した。主要な結果を以下に記す。従来型空調システムに比べ、潜顕熱分離空調システムの電力消費量は19%減少していた。室内空気温度は、システムによる違いがなかったが、被験者周辺の空気温度は、潜顕分離空調システムのほうが0.6℃高かった。システム間でビル用マルチの吹き出し口温度が異なっていたことが確認できた。これに関連して、被験者の温冷感は、熱的中立に近い潜顕熱分離空調システムよりも、従来型空調システムが有意に涼しい側の申告となった。潜顕熱分離空調システムの環境下では、温熱不満足者率が減少し、テキスト・タイピング作業の入力文字数が向上する傾向が見られた。空調設備システムのエネルギー消費と、室内環境、快適性や作業性などの人間の情報を同時に取得することができた。また、(3)ソフトコンピューティング(やわらかな情報処理)に関連して、ウェブブラウザで居住者の室内環境評価に関する情報を収集するシステムを開発した。
|