2008 Fiscal Year Annual Research Report
サブミリ波エリプソメトリによる誘電体のフォノン解析と計算結晶化学
Project/Area Number |
19206068
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鶴見 敬章 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (70188647)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 修 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20108195)
塩田 忠 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40343165)
|
Keywords | 誘電スペクトル / 強誘電体 / 分極 / ペロブスカイト化合物 / エリプソメトリー |
Research Abstract |
サブミリ波分光エリプソメータを試作しその基礎的な性能を検証した。本装置は、多入射・分光エリプソメータの構成で、ハードウェアは日本分光製であるが、ステッピングモータによる偏光子、検光子の回転角度および角度可変反射機構の制御に、専用の制御システム・ソフトウェアを開発した。反射強度の検光子の回転角度依存性の信号を高速フーリエ変換することにより、反射光の偏光楕円率(エリプソ角度Ψ、Δ)を計算した。試料としてチタン酸バリウム単結晶を使用し、サブミリ波領域での異方性複素誘電率を、初めて直接測定することができた。得られた結果を、従来法である遠赤外領域での反射率から最小2乗計算により複素誘電率を推定する方法での結果と比較したところ、測定誤差の範囲内で両者は一致した。特に試作したエリプソメータにより、チタン酸バリウム結晶のフォノンの方位依存性が明らかとなったことは、誘電体物理の観点から重要な結果である。また、チタン酸バリウムセラミックスの誘電特性が、粒子径により異なるいわゆる「サイズ効果」の原因を明らかにするために、粒子径の連続的に異なるチタン酸バリウムセラミックスを通常の焼結法および2段階焼成法により作製し、kHzからTHzに至る超広帯域誘電スペクトルを測定して、誘電分極機構によるサイズ効果の挙動について研究した。その結果、粒子径約1μmで誘電率は極大を示すことが明らかとなった。誘電率の増加のついては、主にドメイン壁の電場による振動に起因する双極子分極の変化により説明できたが、粒子径1μm以下で誘電率の低下については、予想に反してイオン分極が関与していることが明らかとなった。この原因については、来年度に引き続き検討中する予定である。
|
Research Products
(10 results)