2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境フレンドリーなハーフホイスラー型熱電材料の高性能化と作製プロセス
Project/Area Number |
19206073
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 好里 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (90262295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 良直 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (00143660)
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Keywords | 金属物性 / 環境エネルギー材料 / 廃熱利用 / 材料加工・処理 |
Research Abstract |
ハーフホイスラー型化合物TiNiSnは優れた熱電特性を有するだけでなく、有害・希少元素に頼らずに環境フレンドリーな合金組成で材料設計ができる熱電材料である。Snの融点が他の構成元素に比べて極めて低いことから、従来の溶解凝固法や粉末冶金法では非平衡凝固によって多相組織が形成される。この問題を回避できる作製プロセスとして、Snより高融点であるSnO_2の還元反応とTiの酸化反応を利用した固液反応焼結法を考案した。TiNiSnとTi酸化物を積極的に複合組織とすることで熱電性能向上を図り、同時に省エネルギー作製プロセスを両立させることを目指した。TiNiSnと共存させるTi酸化物としては同じn型の熱電特性を有するTiO_2が望ましいが、Ar-H_2還元雰囲気ではTiO_2が還元されてTi_2O_3が共存相となる。導電性が高いTi_2O_3はキャリア濃度を増大させ電気抵抗を低減できる反面、Seebeck係数を低下させることが分かった。一方、状態図を実験的に調べるなかでTiNi化合物相とSn液相に直接平衡させながらTiNiSn相を形成できる拡散反応経路を見出した。急冷凝固ガスアトマイズ法で作製したTiNi化合物粉末とSn粉末を用いて固液反応焼結を試み、TiNiSnほぼ単相組織の合金作製に成功した。応用展開としてTiNi、Sn、TiO_2の混合粉末を用いた固液反応焼結を行うと、TiNiSnにTi_2O_3が均一に分散した組織が形成される。TiNiSn相のTiが還元剤として働いてTiO_2がTi_2O_3に還元されることを明らかにした。酸化状態をTi_2O_3からTiO_2に近づけるためには酸素分圧制御が必要である。さらに熱電材料設計指針を確立するため、MNiSn(M=Ti,Zr,Hf)の相安定性と相平衡を調べ、全率固溶するZrNiSnとHfNiSnからTiNiSnが格子定数差に基づき相分離することを見出した。ZrNiSnにTiを固溶させた(Zr,Ti)NiSn単相合金を一方向凝固により作製し、きわめて優れた電気的出力因子が実現できることを示した。今後、TiNiSn系を基盤とした高性能かつ低環境負荷の熱電材料開発につなげたい。
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Research Products
(5 results)