2007 Fiscal Year Annual Research Report
転位構造の広域SEM観察および破壊評価モデルの再構築
Project/Area Number |
19206076
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
橋本 敏 Osaka City University, 大学院・工学研究科, 教授 (50127122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 佳久 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40283098)
VINOGRADOV Alexei 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10283102)
宮本 博之 同志社大学, 工学部, 准教授 (10298698)
中村 篤智 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20419675)
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Keywords | ECCI法 / 金属疲労 / き裂伝ぱ / 転位 / 固執すべり帯 / 損傷検査 / 電子顕微鏡 / 銅 |
Research Abstract |
広域の微視的組織観察から破壊の原因を推定できる手法の確立を目的として、銅の平滑試験片を用いて引張試験および疲労試験を行い、破断後の破面近傍をElectron Channelling Contrast Imaging(ECCI)法およびEBSD法で分析した。ECCI法とはSEMを用いて表面近傍の転位を観察する手法で、広い範囲の転位構造を非破壊的に観察することができる。ECCI法による転位構造の観察では,破面のごく近傍では両者ともにセル組織が観察された。このセル組織は引張試験で破断した試料には全域にわたって観察されたが、疲労で破断した試料では破面近傍のみに見られそれ以外でははしご状構造を有する固執すべり帯(PSB)やベイン構造が観察することができた。このように、疲労のみにPSB構造やベイン構造の形成が見られるので、引張変形による破壊と疲労破壊を判別することが可能であるといえる。EBSD法による結晶方位解析では、引張変形による破断では小角粒界の密度が非常に高く、EBSD解析も破断原因推定の有効な手段の一つといえる。 また、組成が異なるCu-Al合金単結晶を用いて疲労き裂伝ぱ試験を行い、き裂近傍に形成される転位構造の積層欠陥エネルギ依存性をECCI法で調査した。Cu-3at.%Al合金単結晶では、どのような引張軸でもベイン構造やセルなどの自己組織化した転位構造がき裂周辺に観察された。一方、積層欠陥エネルギが低いCu-9at.%Al合金では、セルが観察された[001]引張軸方位を除いて、転位の自己組織化は観察されなかった。Cu-3at.%Al合金とCu-9at.%Al合金との間で見られた破面形態の違いは、き裂近傍に形成される転位構造の差から理解することができた。
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