2008 Fiscal Year Annual Research Report
転位構造の広域SEM観察および破壊評価モデルの再構築
Project/Area Number |
19206076
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
橋本 敏 Osaka City University, 大学院・工学研究科, 教授 (50127122)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 佳久 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40283098)
VINOGRADOV Alexei 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10283102)
中村 篤智 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20419675)
|
Keywords | ECCI / 繰返し変形 / 疲労 / き裂 / 転位 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
金属内部の転位の観察には,バルク状のまま広範囲にわたって転位構造を観察できるElectron Channeling Contrast Imaging(ECCI)法Electron Backscatter Diffraction(EBSD)法が非常に有用である.本課題では応力腐食割れを起こすことが知られているCu-Zn合金(真鍮)を用いて各種の破壊試験を行った.引張や疲労,応力腐食割れで破断したCu-Zn合金の破面付近の転位構造およびき裂の形態を明らかにし,それによって破壊機構の推定を行う手法を開発することを目的としている.引張破面近傍ではECC像の白黒のコントラストが頻繁に変化し,その境界が不明瞭な組織である.また方位差が5゜以下の小角粒界が多く存在し,個々の結晶粒内の平均方位差は3゜<0<8゜であった.疲労破壊したものは,転位壁構造,ベイン構造およびセル構造が観察され,破面近傍の個々の結晶粒内の平均方位差は1゜以内であった.応力腐食割れにより生じたき裂はほとんどが粒界割れで,き裂のごく近傍でも転位構造は観察されなかった.個々の結晶粒内の平均方位差は2。以内であった.疲労き裂先端に形成される転位組織に及ぼす結晶学的方位の影響を明らかにするために,Fe-20%Cr合金単結晶で伝ぱした疲労き裂先端をECCI法で観察した.ECCI観察の結果,Mode IIき裂成分の高い疲労き裂では,き裂面と平行な面上に直線状の転位構造が観察された.詳細なECCI観察からは,その構造ははしご状転位構造を有していた.はしご状構造はモードII型の疲労き裂先端から放出された刃状転位が自己組織化した結果であると結論づけられた.一方モードIII型き裂では,き裂先端を中心としたセル組織,ウォール組織,ベイン組織の同心円状の転位構造が観察された.この構造はモードIII型き裂先端から放出されたらせん転位が塑性ひずみ振幅に応じて自己組織化した結果形成されたと考えられる.
|
Research Products
(14 results)