2010 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギーイオンビームの直描式微細加工による3Dナノ構造の創製
Project/Area Number |
19206105
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
神谷 富裕 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 放射線高度利用施設部, 課長 (70370385)
|
Keywords | ナノデバイス / MEMS / イオンマイクロビーム / ナノ細線 / マスクレス多重露光 / SU-8レジスト / 遊星歯車構造 / シングルイオンヒット描画 |
Research Abstract |
将来の情報通信・医療技術の発展に不可欠なナノデバイス創製あるいはMEMS (Micro Electro Mechanical Systems)の基盤技術として、核子当りMeV以上のエネルギーを持つ重イオンマイクロビームの高空間分解能、高LET (Linear Energy Transfer:単位長さあたりのエネルギー付与)、および長飛程の特長を活かしたレジスト材に対するナノ細線を含む3次元的なマスクレス露光を実現し、高エネルギーイオンビーム利用の新たな可能性を拓く研究開発を進めた。平成22年度は、一般的なレジスト材料であるSU-8に対する2種類のエネルギーのプロトンマイクロビーム描画(PBW)の重ね合わせをより高精度化し、複数の回転軸と歯車が組み合わされた遊星歯車構造の創製に成功し、イオンマイクロビームによるマスクレス多重露光技術を確立した。さらに予めSU-8試料に対し多重露光により形成される3次元橋脚構造にナノ細線を組み合わせることをねらって、高エネルギー重イオンマイクロビーム装置における260MeVNeイオン等のシングルイオンをさらに重ねて正確に照準して照射することに成功し、より高LETのシングルイオンヒット描画も加えた複合的な多重露光技術を開発した。ここで、ナノ細線が現像や観察の段階で流失したり破壊されたりする現象を明らかにし、これまでに、シングルイオンヒットによる独立したナノ細線を確認するには至っていないが、ヒット数を制御した正確な重ね打ちにより、円柱構造が形成できる条件を見出しており、より高LETの重イオンのシングルイオンヒットにより、ナノ細線を含む三次元構造の創製に見通しも得られた。
|
Research Products
(11 results)