2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物ゲノムにおける反復配列動態のエピジェネティックな制御
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19207002
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
角谷 徹仁 National Institute of Genetics, 総合遺伝研究系, 教授 (20332174)
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Keywords | トランスポゾン / DNAメチル化 / インプリンティング / クロマチン / ヒストン |
Research Abstract |
DNA低メチル化突然変異体で誘発された発生異常を遺伝解析することで、転移能を持つシロイヌナズナの内在レトロトランスポゾンを同定した。さらに、ゲノムDNAをタイリングアレイにハイブリダイズさせるという単純な方法で、さらに4種類のトランスポゾンのコピー数増加が検出できた。一般にシロイヌナズナでは、トランスポゾンのコピー数が少なく、大部分のトランスポゾンの配列と座上位置が正確にわかっている。このシロイヌナズナの利点が活用できた。多様な内在トランスポゾンが同定でき、その中には、遺伝子の少ない動原体領域に特異的に挿入すると予想されるものも含まれた(Tsukahara et al 2009 Nature)。多くの生物のゲノムで、動原体付近には反復配列が多いが、その進化機構はあまり研究されていない。今回新たに同定したレトロトランスポゾンは、反復配列の多い動原体の進化機構の研究素材として使えることを期待している。また、遺伝子のメチル化を負に制御するjmjCドメイン因子IBM1遺伝子(Saze et al 2008 Science)の突然変異体を用いたゲノムワイドのDNAメチル化プロファイリングを行ない、この因子の突然変異体では、少なくとも数千の遺伝子でDNAメチル化上昇することがわかった。トランスポゾンは影響されなかった。IBM1が、転写される遺伝子のDNAメチル化を防ぐことでトランスポゾンと遺伝子のメチル化の区別に貢献していることが明らかになった(Miura et al 2009)。
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