2008 Fiscal Year Annual Research Report
色素体とミトコンドリアの分裂マシーンの分子生理機構の解明
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19207004
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
黒岩 常祥 Rikkyo University, 理学部, 特任教授 (50033353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 宗一 琉球大学, 理学部, 教授 (00201674)
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Keywords | 色素体分裂装置 / ミトコンドリア分裂装置 / 分裂マシーン / シゾンゲノム / MALDI TOF-MS / Cyanidioschyzon merolae / ダイナミン / プロテオミクス |
Research Abstract |
申請者らは、1986年に世界ではじめて色素体が独自の分裂装置を使って分裂増殖していることを原始紅藻Cyanidium caldariumで発見した。更に1993年には色素体とミトコンドリアの分裂装置をCyanidioschyzon merolae(略称シゾン)で発見した。現在色素体とミトコンドリアは基本的にはダイナミックトリオ(FtsZ, PD/MD,ダイナミンの各リング)を使って分裂増殖していることが明らかとなった(Nishida et al. PNAS2003;Miyagishima et al. Plant Cell2003;Yoshida et al. Science20006). 本研究の目的は、これら及び18年度の成果を踏まえて、色素体の分裂装置であるPDFマシーンを無傷に単離し、それを構成する全タンパク質とその遺伝子を同定すること、及びミトコンドリアの分裂(MDF)マシーンの全タンパク質とその遺伝子を同定することであった。しかしそれぞれが極めて小さく、また弱いこともあり、単離は困難を極めた。そこで、それぞれの分裂マシーンの挙動を参考に単離することにした。色素体のPDFマシーンの長さは5ミクロン、ミトコンドリアの分裂マシーンは1ミクロンであった。これが分裂期の初期には接着しているが、後期になると分離することが分かった(Int. Rev. Cell Mol. Biol.2008)。この性質を利用して、先ず後期の細胞からPDFマシーンを単離し、前期の細胞から、PDFマシーンとMDFマシーンの複合体を単離することであった。そしてプロテオーム解析を行い、複合体の分画から色素体分画の部分を引くことよってミトコンドリア核のタンパク質のMALDITOF-MS解析をした。こうして現在20種あまりの色素体とミトコンドリアのタンパク質の存在が明らかとなった。次にこの一つずつを解析し、先ずミトコンドリアのMDFFマシーンの内側にあり、FtsZと密接に働くタンパク質とその遺伝子を同定することに成功した(Curr. Biol. in press).現在こうした方法で得られた分裂に関わるタンパク質を一つずつ解析を進めるとともに、他の生物での一般性を明らかにするため、緑藻や高等植物での色素体とミトコンドリアの挙動を、生活環にそって解析している。
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