2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19207011
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石渡 信一 Waseda University, 理工学術院, 教授 (10130866)
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Keywords | 分子モーター / 1分子計測 / バイオナノゲージ / 光ピンセット / SPOC / ミクロ温度計 / アクチン / 細胞分裂装置 |
Research Abstract |
本課題は、分子モーターシステムの"酵素機能に果たす力の役割"を1分子レベルから分子集合体、ひいては細胞に至るまでの、生体運動系の階層構造に着目して研究することにある。H.21年度は、1)アクチンフィラメントの上を一分子で歩行運動するMyosin Vについて、光ピンセットを用いて様々な方向に外力を加え、それに対するATP存在下での歩行運動の安定性や、ADP存在下での破断力測定を拠り所とした結合安定性を系統的に測定し、その結果をもとに安定な歩行運動機構を諭じた("Robust processivity of myosin V under off-axis loads. "Oguchi, Y., Mikhailenko, S.V., Ohki, T., Olivares, A.O., De La Cruz, E.M. & Ishiwata.S.(2010). Nature Chem.Biol.6 : 300-305)。またMyosin Vに限らず、Myosin IIやKinesinに関する1分子破断力測定の結果を纏めたレビューを発表した(Mikhailenko, S.V.ら)。2)カエル(Xenopus)卵の抽出液中で自己組織化される紡錘体(染色体分裂装置)のラグビーボール形状の維持機構を解明する目的で、一対のガラス微小針を顕微操作して長軸(極)方向に引っ張り変形を加え、その応答性を定量的に検討した。その結果、強制的な形態変形に対して、微小管の重合・脱重合やキネシン・ダイニン系のモーター活性を通じて、ラグビーボール形状を維持するように適応することが明らかになった。染色体を正確に2分配するという紡錘体の機能を遂行するためには、紡錘体の大きさではなく、ラグビーボール形状そのもの(それを維持する力のバランス)が重要であることを示唆するものである(諭文準備中)。
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