2007 Fiscal Year Annual Research Report
非対称細胞分裂を制御する新規Wntシグナル伝達機構の研究
Project/Area Number |
19207017
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
澤 斉 The Institute of Physical and Chemical Research, 細胞運命研究チーム, チームリーダー (80222024)
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Keywords | Wnt / βカテニン / 非対称細胞分裂 / 細胞極性 / 微小管 / 紡錘体 / キナーゼ / C. elegans |
Research Abstract |
線虫C.elegansにおいて、非対称に分裂する細胞の極性はWntシグナルによって制御されている。この際、細胞内のWntシグナル伝達因子が細胞表層で非対称に局在する。Frizzled受容体は細胞の後極に、反対にAPCやβカテニンまたそれに結合するLIT-1キナーゼは細胞の前極に局在する。分裂の終期になるとβカテニンやLIT-1は逆に新しくできた後側の娘核の集積する。細胞表層のβカテニンがβカテニン自身の核局在を抑制していることをわれわれは報告しているが、このような局在がどのように制御されているのか詳細な機構は不明である。本年度は、細胞表層のLIT-1キナーゼの機能に注目し、LIT-1を細胞表層に強制的に局在させると、βカテニンを局在させたときと同様、βカテニンの核局在が阻害されることを発見した。また、興味深いことに、このLIT-1の働きにはキナーゼ活性が必要であった。LIT-1は表層で未同定の蛋白をリン酸化することでβカテニンの核局在を制御していると考えられる。次に、非対称分裂における微小管の関与を調べたところ、微小管の阻害剤や、ZEN-4/キネシンの阻害によって、βカテニンやTCFの核局在が阻害されることがわかった。また、分裂の終期において紡錘体が姉妹細胞間で非対称になっていることを発見した。Wntは微小管を制御することでβカテニンの核局在を制御していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)