2009 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ人類・類人猿化石の高精細CTデータの取得と比較形態解析
Project/Area Number |
19207019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中務 真人 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (00227828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (50206596)
仲谷 英夫 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20180424)
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Keywords | 化石 / ケニア / エチオピア / ヒト / ヒト科 / 中新世 / 鮮新世 / CT |
Research Abstract |
ケニア国立博物館でのマイクロCT撮影を行った。撮影対象は、これまで同国内で発掘され、ケニア国立博物館に収蔵されているナカリピテクス、サンブルピテクスをはじめとする、中新世化石類人猿の歯牙標本とタンザニアのオルドバイ峡谷から発掘されたホモ・ハビリスの手骨と足骨であった。6月から10月にかけてマイクロCT装置をケニアに輸送しCT撮影を行った。このため、中務と仲谷がケニア国立博物館へ出張した。また、イラン政府との交渉により、後期中新世のイラン、マラゲーから発掘された霊長類資料の一部かり出しが許可された。この時代のアフリカと西ユーラシアの関連を探る上で重要な資料であることから、このCT撮影を東京大学総合研究博物館で行った。これらの研究成果は、論文としてEvolutionary Anthropology、Scienceなどの学術雑誌に発表された。特に、Scienceに発表された10編のシリーズ論文は、1990年代に発掘され研究が続けられていたアルディピテクス・ラミダスの全貌を明らかにした。この研究の最も大きな意義は、人類の進化段階に「原始猿人」とも呼べるこれまで未知であった段階が存在したことを明らかにしたことである。アルディピテクス・ラミダスは從来知られていたアウストラロピテクス猿人よりも二足性の進化段階が遙かに低い人類であり、人類とフリカ類人猿の最後の共通祖先増を推定する大きな手がかりである。化石資料の変形が激しいにも関わらず、CTとコンピュータによる仮想的復元の有効性を生かすことで効果的な研究が可能になった。
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