2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物免疫を統御する転写因子の分子機構解明と耐病性化への応用
Project/Area Number |
19208004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉岡 博文 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (30240245)
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Keywords | 植物病理学 / シグナル伝達 / 植物免疫 / WRKY型転写因子 / 耐病性植物 / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は、親和性菌の感染で誘導されるプロモーターの下流に、アミノ酸置換により活性型にした転写因子である WRKY8 (StWRKY4をStWRKY8、NbWRKY4をNbWRKY8と改名した)を連結したキメラ遺伝子を形質転換し、耐病性を示す組換えジャガイモ植物を作出することである。 本年度は、NbWRKY8がNbSIPKやNbWIPKとin vivoで相互作用することを、BiFC法によって示した。これらの蛍光は核においてのみ観察され、エリシターで処理しても変化しなかったことより、MAPキナーゼによるリン酸化は、核への移行に影響を及ぼさないことを示している。GAL4結合配列をプロモーター領域に有するGUS遺伝子を導入したベンサミアナ葉に、GAL4DNA結合ドメインとNbWRKY8の融合タンパク質および、NtMEK2^<KR>またはNtMEK2^<DD>を共発現させ、GUS活性を測定した。その結果、活性型であるNtMEK2^<DD>との共発現によりGUS活性が上昇したことより、NbWRKY8が転写活性を正に制御する因子であることが明らかとなった。さらに、MAPキナーゼによりリン酸化される62、67、79、86、98番目のセリンをアスパラギン酸に置換したNbWRKY8の恒常的活性変異体NbWRKY8^<DDDDD>を作製し、ベンサミアナ葉に一過的に発現させところ、下流の防御遺伝子であり、リグニン合成やファイトアレキシン合成に関与するNADPH-MEを誘導することが示された。これらの結果は、セリンをアスパラギン酸に置換することにより疑似リン酸化されたNbWRKY8が活性型となり、下流の遺伝子を制御することを示している。
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