2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物免疫を統御する転写因子の分子機構解明と耐病性化への応用
Project/Area Number |
19208004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉岡 博文 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (30240245)
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Keywords | 植物病理学 / シグナル伝達 / 植物免疫 / WRKY型転写因子 / 耐病性植物 / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は、親和性菌の感染で誘導されるプロモーターの下流に、アミノ酸置換により活性型にした転写因子であるPPS8・WRKY8を連結したキメラ遺伝子を形質転換し、耐病性を示す組換えジャガイモ植物を作出することである。 前年度は、NbWRKY8がNbSIPKおよびNbWIPKと核内で相互作用することを、BiFC法によって示した。62、67、79、86、98番目のリン酸化されるセリンをアスパラギン酸に置換したNbWRKY8の恒常的活性変異体NbWRKY8^<DDDDD>を作製し、ディファレンシャルサブトラクション法により誘導される遺伝子を探索した結果、下流の防御遺伝子として新たにファイトアレキシン合成の鍵酵素である3-hydroxy-3-methylglutaryl CoA reductase 2 (HMGR2)が特定された。NbWRKY8^<DDDDD>を一過的発現させると、下流の遺伝子であるNADP-MEとHMGR2が誘導されることを確認した。しかし、実際に組織内でNbWRKY8がMAPキナーゼによりリン酸化されることを示す必要がある。そこで本年度は、79および86番目のリン酸化セリン残基を特異的に認識するそれぞれの抗体を作製した。非活性型MAPKKのMEK2^<KR>または恒常的活性型変異体であるMEK2^<DD>を一過的にベンサミアナ葉に発現させ、抽出したタンパク質を用いてウエスタン解析を行い、NbWRKY8が組織内でNbSIPKおよびNbWIPKの活性化に依存してリン酸化されることを証明した。これより、in vitroでの解析で特定された5カ所の推定リン酸化部位のうち、少なくとも79番目と86番目のセリン残基がMAPKの活性化に依存してリン酸化される事が明らかとなった。
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