2007 Fiscal Year Annual Research Report
性フェロモン交信系の分子進化学的解析-情報発信者と受信者の協調進化の謎に迫る-
Project/Area Number |
19208005
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 幸男 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (60125987)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田付 貞洋 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40163480)
|
Keywords | アワノメイガ / アズキノメイガ / 性フェロモン / 生合成 / 進化 |
Research Abstract |
アワノメイガ類における性フェロモン生産系の進化を探るため、フェロモン生合成酵素をコードする遺伝子のクローニングと酵素活性の調節機構を調査した。 1.アズキノメイガのフェロモン腺特異的脂肪酸還元酵素をコードする遺伝子としてFAR-XIIIをクローニングした。FAR-XIIIの発現ベクターpIZT-/V5-His-FAR-XIIIを作成し、Sf9細胞をリポフェクションにより形質転換して、細胞の脂肪酸還元活性を調査したところ、E11-14:OH,Z11-14:OHのアルコールが検出された。これに対し、コントロールベクターで形質転換したsf9細胞からはアルコールは検出されなかった。これによりFAR-XIIIが還元活性をもつことが証明された。 2.アワノメイガ(性フェロモンはZ/E12-14:OAc)とアズキノメイガ(Z/E11-14:OAc)の交配により、不飽和化酵素の活性制御機構を調査した。Z/E11-14:OAcの合成には不飽和化酵素Δ11-desaturaseが、Z/E12-14:OAcの合成にはΔ14-desaturaseが関与していることが知られている。2種のガともΔ11-とΔ14-desaturaseの両方の遺伝子を持っていたが、アズキノメイガではΔ14-desaturase遺伝子の転写が、アワノメイガではΔ11-desaturase遺伝子の転写が強く抑制されていた。そして、F1では2つの遺伝子の両方が転写されていた。F1、F2、戻し交配世代におけるZ/E11-14:OAcとZ/E12-14:OAcの生産は、常染色体上にある、不飽和化酵素の転写の抑制に関わる劣性遺伝子を仮定することで説明することができた。
|