2010 Fiscal Year Annual Research Report
性フェロモン交信系の分子進化学的解析―情報発信者と受信者の協調進化の謎に迫る―
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19208005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 幸男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60125987)
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Keywords | アワノメイガ / アズキノメイガ / 性フェロモン / 生合成 / フェロモンリセプター / 脂肪酸還元酵素 |
Research Abstract |
1.今までにクローニングを完了したオスの7種の性フェロモンリセプター遺伝子(OR1,OR3~OR8)のうち,性フェロモン成分が他種と大きく異なるアワノメイガOstrinia furnacalisでみつかったOR4のバリアントについてアフリカツメガエルの卵細胞発現系を用いた機能解析を行った。OR4はアワノメイガの性フェロモン成分であるE12-&Z12-14 : 0Acに対して特異的に応答した。このリセプターの変異がアワノメイガにおける性フェロモンの大転換(E11-&Z11-14 : OAc→E12-&Z12-14 : OAc)に重要な役割を果たしたことが強く示唆された。 2.フェロモン腺特異的脂肪酸還元酵素をコードする遺伝子としてアズキノメイガOstrinia scapulaliSから既にFAR-XIIIをクローニングしていたが(平成19年度成果)、日本産の同属7種すべてからこの遺伝子のホモログをクローニングすることに成功した。これらの遺伝子の機能を解析したところ、酵素の基質特異性がそれぞれ少しずつ異なっており、この基質特異性の差異によってフェロモン腺で生産されるフェロモンの組成の差異をみごとに説明することができた。 3.アズキノメイガからacetyl-CoAacetyltransferase(OsAT1)をクローニングした。本酵素を昆虫培養細胞を用いた発現系により機能解析したところ、この酵素はacetyl-CoAからacetoacetyl-CoAを生成する反応を触媒することが示された。本酵素はフェロモン生産の最終段階で働くフェロモン腺特異的なacetyltransferaseとは異なると判断された。
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