2007 Fiscal Year Annual Research Report
トウトマイセチンを鍵としたリン酸化タンパク質の意義選択的プロテオミクスとその応用
Project/Area Number |
19208011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
生方 信 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (60168739)
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Keywords | トウトマイセチン / 1型ホスファターゼ / 阻害剤 / MF-κB / IKK / ATM / リン酸化 |
Research Abstract |
本研究は1型ホスファターゼ(PP1)の機能の解明と基質の同定を行うために、PP1阻害剤トウトマイセチンおよび質量分析機などを用いて解析した。その中で、本年度は以下の事が明らかとなった。(1)様々な抗リン酸化抗体による実験結果から、2A型ホスファクーゼ(PP2A)が、細胞内のほとんど全てのリン酸化セリン・スレオニンを基質とするのに対して、PP1は基質特異性が大きい。(2)リン酸化親和性カラムの安定した自作が困難であり、またリン酸化親和性カラムでは40kDa以下のタンパク質の収率が極端に小さい。(3)トウトマイセチンで処理した細胞ではサイトカインTNFによる転写因子NF-κBの活性化が抑制される。この事実は、トウトマイセチンがNF-κBの上流であるキナーゼIKKの活性化を抑制する事を示している。またIKKとPP1は恒常的に結合しており、TNF刺激後はIKKの活性の減少と同様な時間経過での受容体へのPP1の結合と解離が観察された。このことからPP1はTNF/NF-κB経路の受容体付近に基質タンパク質をもっており、PP1はTNF/NF-κB経路を正に制御していると示唆される。(4)様々なシグナル伝達系路を調べた結果、PP1はDNA修復および細胞周期制御に重要なATMの基質を脱リン酸化することが示唆された。ATMの基質で有名な分子はp53であるが、本研究では異なった分子が見出され、リン酸化の部位も推定された。
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