2008 Fiscal Year Annual Research Report
トウトマイセチンを鍵としたリン酸化タンパク質の意義選択的プロテオミクスとその応用
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19208011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
生方 信 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (60168739)
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Keywords | トウトマイセチン / 1型ホスファターゼ / 阻害剤 / NF-κB / リン酸化 / ATM |
Research Abstract |
昨年度までに示唆されていた結果を踏まえ、トウトマイセチン(TC)を用いたPP1の基質蛋白のスクリニーングを行った。TCで処理したHEK293T細胞の細胞抽出液をSDS-PAGEと抗リン酸ATM/ATR基質抗体により解析した。その結果30kDa付近のリン酸化バンド(ATMP30と表記)がTCにより顕著に増加していることが判明した。そこでHiTrap Q HP陰イオン交換樹脂、SDS-PAGEで精製し、ATMP30のトリプシン消化したペプチド断片のアミノ酸配列をMALDI=TOF/MSにより解析した。これらのペプチド断片の配列から、ATMP30はヒトのリボソームの基本単位である40Sサブユニットのリボソームタンパク質S3a(RPS3a)であることが示唆された。ATMP30がRPS3aであることを確かめるために、HEK293T細胞の細胞抽出液を陰イオン交換クロマトグラフィーにより分画し、それぞれの画分をSDS-PAGEにより分離し、抗RPS3a抗体を用いてイムノブロット解析を行った。RPS3aを含む画分は、ATMP30を含む画分と完全に重なった。これらのデータはRPS3aがPP1の新しい基質であることを強く支持している。本年度は、さらにTCの収束的な全合成を目指して中間体セグメントの合成経路の開拓を行った。
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