2009 Fiscal Year Annual Research Report
トウトマイセチンを鍵としたリン酸化タンパク質の意義選択的プロテオミクスとその応用
Project/Area Number |
19208011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
生方 信 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (60168739)
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Keywords | トウトマイセチン / PP1 / RPS3a |
Research Abstract |
DNA修復,細胞周期制御、アポトーシス誘導など染色体DNAの安定維持にかかわる分子ネットワークを統合的に制御しているATM/ATRキナーゼの基質かつPP1の基質と考えられるATMP30を発見した。精製後、MALDI-TOF/MSによりATMP30はリボソーマルタンパク質RPS3A(a)(Fet-1)であることが判明した。RPS3aは、40Sリボソームサブユニットを構成するタンパク質であるが、もう一つの機能として、細胞の生死に関与するメディエーターとしての役割が示唆されている。即ち、RPS3aは、正常細胞よりもがん細胞で高いレベルで発現しており、亢進しているRPS3aの発現を抑制することでアポトーシスを誘導することができる(J.Cell.Biol.141,741(1998))。しかしながら、その分子機構は、ほとんど未知である。我々はさらに、ATM/ATRによるRPS3aのリン酸化、細胞内局在化とPP1との関わりを明らかにした。また、PP1の基質としてPP1そのものも見いだした。PP1は活性化されたcdc2によりリン酸化されるが、トウトマイセチン処理により、cdc2のリン酸化がやや抑制されるにも関わらず、特異的にPP1の同じサイトがリン酸化されることを見いだした。PP1のリン酸化は核やミトコンドリアをはじめ細胞内のほとんどの画分で観察された。PP1はリン酸化-脱リン酸化により細胞の生死をダイナミックに、かつ正のフィードバック系として制御していると考えられる。本年度も、トウトマイセチンの全合成研究を引き続き行っており、ほぼ全てのセグメントの合成に成功した。
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