2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19208012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 利郎 Kyushu University, 農学研究院, 准教授 (20238942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 清 九州大学, 農学研究院, 教授 (80038322)
佐藤 匡央 九州大学, 農学研究院, 准教授 (90294909)
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Keywords | ペプチド / 高血圧 / LC-MS / MS / 血管機能 / 生活習慣病 / MD |
Research Abstract |
種々の生理作用が明らかにされつつある低分子ペプチドについて、特に高血圧・糖尿病発症に深く関わる血管機能に対する潜在的な作用を組織レベルで評価し、さらにin vivoでの活性発現の検証とLC-MS/MS法による新たなアッセイシステムの構築を図った。 1)同位体標識LC/MS法の構築によるペプチド吸収・組織蓄積挙動の解明:13C-Val,Ile,AlaのFmoc誘導体化合成並びにC末端にTyrを配置した合成ジペプチド体を用いて、新たに構築したMRM-ESI-LC/MS/MS法の適用を試みた。最適条件として、MRMによる[M+1,m/z]/MeOH-HCOOH(Pos)/Tyr検出によるセグメント分析を提案することができた。これにより、ラット血漿レベルで3種の同位体標識ペプチドの定量が可能となり、検出限界は10pmol/ml-plasmaであった。 2)血管調節機能を有するペプチド体の網羅的解明:SDラット血管標本を用いた血管張力測定を実施し、血管弛緩性の認められたWHを基本骨格として、さらに高活性なペプチド検索とその作用発現機構の解明を図った。その結果、N末端はHisの存在が必須であること、C末端側ではTrp、さらにトリペプチドでは中間位Argが存在することによりEC50値として1.2mMの弛緩作用を示すことが判明した。構造-活性相関により、ペプチドによる弛緩性発現はジヒドロピリジン系カルシウムチャンネルブロッカーと同様、イミダーゾール環Nのプロトンが大いに関与していることが判明した。 3)水溶液系でのタンパク質とペプチドとの立体的相互作用を見積もることを可能とするMDシュミレーション解析法を確立した。すなわち、SYBYL/surflex-dock法を適用することにより、水分子だけでなく塩素イオン存在下でのジペプチドの立体配座を特定し、その安定性を自由エネルギー変化量として見積もることが可能となった。 4)アポE欠損マウスに対する3ヶ月にわたる長期WH投与試験を実施し、10mg/kg投与によって有意なenfaceによる抗動脈硬化作用を発見し、ペプチドによる本作用を世界で初めて明らかにし得た。
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