2007 Fiscal Year Annual Research Report
作物の水利用効率の改善のための新規イメージング法を用いた蒸散と物質動態の基礎研究
Project/Area Number |
19208023
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 友子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30124275)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯山 賢治 国際農林水産業研究センター, 理事長 (60012077)
鈴木 和年 放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 上席研究員 (90162932)
田野井 慶太朗 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教 (90361576)
|
Keywords | 水動態 / ^<15>O / ダイズ / 水の定量 |
Research Abstract |
作物中の水動態を調べるため,ポジトロン放出核種0-15を用いて,ダイズ中の水の動態を定量的に測定できる機器をセットアップした。0-15標識水を用いた実験は半減期が短いため(2分),20分ほどしか測定できないが,同じ植物体を用いて同じ実験を繰り返すことが可能であるため,再現性のあるデータを取得することができた。ダイズ茎(最下部の茎)1cmあたりの水の吸収速度は約4μl/秒であり,測定部位が上部へと移動するに従い,茎に既に存在していた安定な0-16水により希釈されるため見かけの吸収速度は遅くなった。ダイズ下部の茎1cmは体積にして約50μlであるが,根から吸収された0-15水の量は15分ほどで40μlほどになり,新たに吸収された水が導管から漏出していることが明らかになった。そこで,この部分の茎の導管体積を測定したところ,約2μlであることから20倍の水が導管から漏れ出し周囲の水と混合してまた導管に戻っていることになる。導管から漏出した水がどのようなルートを辿っているかについては,(1)茎表面からの蒸散,(2)篩管への流入(下部の水の移動),(3)導管以外の組織による水の上部への移動,が考えられる。そこで(1)についてはワセリンを茎に塗布することによる水吸収動態測定,(2)は篩部削除をしたダイズを用いた水吸収測定を行なったところ,いずれもその可能性は極めて低いことが示された。また(3)は,導管以外の組織は細胞が詰まっているため,水移動の抵抗が高いことから可能性が低いことが考えられた。また茎断面の各組織の体積を顕微鏡下で測定したところ,0-15水の吸収動態を維持するためには木部において導管内の流速と同等の流速が必要なことが判明した。そこで,導管から漏出した水のほとんどは再び導管に戻ることが示された。植物の蒸散量が異なる場合の水動態について,湿度を変化させた場合の0-15水の動態を調べていく予定である。
|
Research Products
(4 results)