2008 Fiscal Year Annual Research Report
作物の水利用効率の改善のための新規イメージング法を用いた蒸散と物質動態の基礎研究
Project/Area Number |
19208023
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 友子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30124275)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田野井 慶太朗 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (90361576)
頼 泰樹 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30503099)
|
Keywords | 水動態 / ^<15>O / ダイズ / 水の定量 |
Research Abstract |
昨年度までに水を150で標識した水を用い、植物体内の水動態について定量的な解析結果を得ることができた。そこで、平成20年度はまず、乾燥耐性のササゲならびに乾燥感受性ササゲを用いて水利用効率の差を検討した。中性子ラジオグラフィにより、耐性種は茎における水分含有量が感受性品種よりも常に高く保持されていることが示された。そこで、葉における水分量を詳細に検討したところ、耐性種と感受性種において、乾燥ストレス下における若い葉と古い葉の水分含量の変化が大きく異なることが示された。現在、浸透圧を調製する化学物質についての動態を調べているところである。また水の動態と合わせて養分吸収についても調べるため、リアルタイムイメージング装置を改良し、植物地上部に光を照射した時にも画像が取得できるようにした。その結果、約1週間、明暗のリズムを付与しながら、RIでラベルした養分の根からの吸収動態をイメージング解析できるようになった。形状的にリアルタイムイメージングシステムに適しているミヤコグサを用いた場合には、幼植物期から種子形成過程までライフサイクル全体を通してイメージング解析を行うことができた。播種後約2週間の植物体、花芽形成期、さや形成期で根と地上部の同時イメージングを試みた。水耕液に32Pを約10kBq/molで添加した後、根から与えた。その結果、通常栽培のサンプルとリン酸欠乏サンプルでは根への蓄積に差が見られたこと、花芽やさや形成時期には通常栽培サンプルではつぼみとさやへのみ積極的に移行することなどが示されたが、リン酸欠乏サンプルでは、つぼみやさや以外に葉への移行量も高かった。各組織における特異的なリンの集積動態について画像から解析することができたので、現在、リン酸動態に関連した各組織における、トランスポーターの種類とその活性との相関についての検討を始めたところである。
|