2008 Fiscal Year Annual Research Report
モノネガウイルスの病原性発現決定因子の解析と制御法の開発
Project/Area Number |
19208025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
甲斐 知恵子 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (10167330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 美佐子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (40361620)
佐藤 宏樹 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50418654)
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Keywords | モノネガウイルス / モービリウイルス / 病原性 / 組換えウイルスワクチン / 宿主因子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまでの研究成果の蓄積を元に、モノネガウイルスの病原性発現に関わる因子を同定してその機序を解明し、ニパウイルス感染症ではワクチン開発を目指すことである。具体的には、これまでに牛疫ウイルスにおいて病原性の発現に最も重要な役割を果たすことが示唆されているP蛋白と相互作用する宿主因子を同定し、モノネガウイルスの病原性発現におけるP蛋白の関与機序を解明する。またIFN応答反応の抑制作用が報告されているモノネガウイルスのアクセサリー蛋白においても、それらの本来の機能および病原性への関与を明らかにする。ニパウイルスにおいては、組換えウイルスを用いたワクチン開発の可能性を検索する。 平成20年度は、上記の研究目標に基づき、具体的に以下の項目で研究を行った。 1. 昨年度作出した組換えバキュロウイルスから発現精製したP蛋白を用いて、細胞溶解液からP蛋白と結合する因子を検索した結果、特異的に結合する宿主因子を一つ同定することができた。現在この因子に関してウイルス増殖への関与を解析中である。 2. モービリウイルスアクセサリー蛋白(V, C)の宿主遺伝子発現への関与を解析した結果、V蛋白は宿主遺伝子転写量に影響を与えない事が判明した。 3. ニパウイルスの種々の組換えウイルスを作製し、動物個体での増殖様式を解析した結果、増殖性に変化をおよぼさないことがわかった。 4. 麻疹ウイルスをベースにしたニパウイルスに対する組換え2価ワクチンを作製し、感受性動物であるハムスターに接種し継時的に抗体価を測定した。その結果、接種3週間後からニパウイルス蛋白に対する抗体価の上昇が認められた。引き続き解析を進める予定である。
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