2007 Fiscal Year Annual Research Report
マダニ媒介原虫病のTRANSMISSION-BLOCKING VACCINE開発
Project/Area Number |
19208026
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤崎 幸藏 Kagoshima University, 農学部, 教授 (00292095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田仲 哲也 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (00322842)
鈴木 宏志 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (60333473)
辻 尚利 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所, 主任研究員 (70355171)
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Keywords | マダニ / Babesia原虫 / BD-TBM / アミノ酸 / TORシグナル伝達機構 / オートファジー / リジン分解 / 多重ビテロジェニン |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究代表者らが分離・特性解明に成功している各種TBMに関する最新知見を活用し、またB.gibsoniのESTデータベースも利用することによって、ガメートからスポロゾイトに至るマダニ体内の全SS期虫体について、各種TBMと反応・結合する原虫分子の探索・同定、特性解明を展開し、最終的にこれらの組換え体複数を用いて、マダニ媒介性原虫病に特有の経発育期・介卵伝播を多段的・多重的に阻止しうる、世界初の多価疾病媒介阻止ワクチン(multi-component transmission-blocking vaccine)の実現を図ることである。 平成19年度に得られた研究成果の概要は、以下の通りである。 (1)マダニの吸血・消化によって変動する栄養刺激と媒介Babesia原虫の関係を、BD-TBMに対するアミノ酸シグナル伝達制御機構(TOR signal transduction pathway)の解明によって明らかにするための新たな実験を開始した。 (2)マダニの生存と生活史の特徴である優れた飢餓耐性を支える栄養補給のメカニズムとして、オートファジー(自食)autophagy機構が重要であることを、世界で初めて明らかにした。 (3)膨大な量の血液を摂取するマダニにおいては、過剰摂取された養分の一部が発揮する有毒作用に対する対応が、生存・疾病媒介を大きく左右する根幹の機能になっている可能性を、リジン分解経路に関わる酵素群の特性解明の研究から世界に先駆けて明らかにした。 (4)中腸、脂肪体、卵巣にそれぞれ特異的な多重ビテロジェニンmultiple vitellogenを発見し、これらとBabesia原虫の分子間クロストークに関する研究を実施した。 (5)中腸に特有の血液凝固阻止機構の存在を、マダニの吸血戦略を支えている可能性があると考え、関連分子に関する検討を行ない、thrombin inhibitor(haemalin)とcarboxypeptidase inhibitor(HICI)を明らかにした。
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Research Products
(6 results)