2007 Fiscal Year Annual Research Report
海馬ニューロン新生を介した認知症に対する先端再生工学研究
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19208030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久恒 辰博 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (10238298)
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Keywords | 認知症 / アルツハイマー病 / 認知機能の低下 / 海馬 / ニューロン新生 / 文脈条件付け学習 / 運動 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
成体海馬における新生ニューロンの数は、特定の生活習慣(運動や学習)や病態時(脳梗塞や癲癇)に増加することが知られていた。そこで、これまでに、脳梗塞の動物モデル(サル、ラット、マウス)を用いて、どのような仕組みにより、新生ニューロンの数が増加するかについて、検討を進めてきた。一方、認知症(アルツハイマー病)において、ニューロン新生がどのように変動しているかについて、数編の発表論文はあるが、いまだに統一見解は得られていない。そこで、本研究では、アルツハイマー病の病態解明と予防を目指して、成体海馬のニューロン新生に関する研究を行う。実験には、アルツハイマー病モデルマウスを使用する。この種のモデルマウスでは、老人斑の蓄積と共に、様々な学習機能の低下が報告されている。今回の実験には、特に、米国ジャクソン研究所が管理・繁殖を行うプレセニリン・アミロイド蛋白ダブル変異マウスを使用した。まず、老人斑の蓄積が確認される生後12-15ヶ月令のアルツハイマー病モデルマウス(メスならびにオス)を使用し、どの程度認知機能が低下しているかについて、文脈条件付け恐怖学習モデルを用いて評価した。いくつかの観点において、認知機能の低下が認められた。次に、このモデルマウスにおける海馬ニューロン新生の動態について解析を進めた。神経幹細胞の数、ならびにその細胞増殖の程度には、差がないことがわかった。引き続き、新生ニューロン数の計測を行っている。さらに、運動によりニューロン新生を高めることで、アルツハイマー病モデルマウスの認知機能が回復可能であるかどうかについての研究を進めている。また、当動物試験での結果が、人体においても適応可能であるかについて検討するために、アルツハイマー病患者の死後脳解析を実施する準備を進めた。
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Research Products
(6 results)