2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリのVacA毒性発現とCagAの相互作用解析
Project/Area Number |
19209014
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平山 壽哉 Nagasaki University, 熱帯医学研究所, 教授 (50050696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯本 一 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90322304)
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / VacA / 細菌毒素 / CagA / P38 MAP kinase / ATF-2 経路 / COX-2 / IL-8 / 毒性発現 |
Research Abstract |
ヘリコバクター・ピロリが産生するVacA毒素によってp38 MAP kinase/転写因子ATF-2経路が活性化され、炎症反応に関わる誘導型シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発現が亢進した。COX-2の発現増加は、その作用によって生じるプロスタグランジン E2 の産生を促すこと、このような作用が胃のみならず大腸上皮細胞にも認められることを明らかにして、Infection and Immunityに報告した。 また、ヘリコバクター・ピロリ感染局所には多くの炎症細胞の浸潤や活性化が認められ、特に、炎症性サイトカインであるIL-8は多核白血球の強力な誘導活性化因子であり、胃炎の進行と多核白血球の浸潤が相関する事実とを考え合わせると、ヘリコバクター・ピロリ感染による胃粘膜障害にはIL-8が重要な役割を担っていると考えている。そこで、VacAが宿主細胞からのIL-8産生を促す可能性とその産生機構の詳細を究明した。種々細胞を用いてVacAによるIL-8の産生誘導を調べた。その結果、末梢血CD14^+細胞のみならず、単球系株化細胞U937細胞を含む数種の細胞でVacAによるIL-8の産生誘導が著明に認められた。そこで、U937細胞を用いてVacAによるIL-8産生誘導機構を詳細に検討した。VacAは、MAPKの活性化を介してATF-2及びCREBを活性化し、これらの転写因子がIL-8 promoter領域のAP-1 siteへ結合するのを促した。また、VacAは、細胞内のCa^<2+濃度を上昇させてNF-kBを活性化し、IL-8 promoter領域のNF-kB siteへの結合を促進させてIL-8の発現を誘導させた。この研究成果は、本年4月のJournal of Immunologyに掲載された。TSS4およびトランスフェクッションによる細胞内へのCagAの導入が、VacAによるp38 MAP kinaseおよびErkの活性化にどのように影響するかを調べている。
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Research Products
(5 results)