2009 Fiscal Year Annual Research Report
視神経脊髄型多発性硬化症の病態解明と新たな疾患概念と治療法の確立
Project/Area Number |
19209032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
糸山 泰人 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (30136428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 一男 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70280873)
中島 一郎 東北大学, 病院, 助教 (50333810)
三須 建郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00396491)
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Keywords | 多発性硬化症 / 脱髄疾患 / 視神経脊髄炎 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
視神経脊髄型多発性硬化症(optic-spinal multiple sclerosis, OSMS)は、重症の視神経炎と横断性脊髄炎を繰り返す免疫性神経難病であり、欧米の視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica, NMO)と共通点が多く同一疾患と考えられる。本研究は、OSMSとNMOに共通の疾患特異的抗体アクアポリン4(AQP4)抗体の発見に伴い、本疾患の新たな疾患概念を確立し、また適切な治療法を確立することを研究目的として種々の解析を行った。 1.AQP4抗体値は寛解時に比べ再発時で高く、ステロイドパルス療法、血漿交換療法、ステロイドやイムランの長期投与により低下した。また一部の症例ではこれらの免疫抑制療法により陰性化した。2.AQP4を発現させた培養アストロサイトにAQP4抗体と補体を添加すると細胞が膨化しその後破裂した。一方、AQP4抗体のみでは細胞膜上でAQP4がクラスターを形成し、その後細胞内に飲み込まれていった。またそれと共にアストロサイトの胞体が著明に収縮した。3.QOL調査としてSF-36を実施し、NMOではすべてのディメンションでQOLの低下が著しかった。痛みについては疼痛に関するテストバッテリーを用いて調査したところNMOではMSよりも痛みが強く、分布も異なることがわかった。4.治療については、血漿交換療法は再発からできるだけ早期に実施したほうが有効性が高いこと、またステロイドの長期投与により年間再発率が1.0から0.15程度に著明低下することがわかった。
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