2009 Fiscal Year Annual Research Report
過栄養時代の2型糖尿病における膵β細胞障害と適応機構
Project/Area Number |
19209034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡 芳知 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (70175256)
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Keywords | インスリン分泌 / 膵β細胞 / 小胞体ストレス |
Research Abstract |
過栄養時代には糖尿病が急増しているが、その発症には小胞体ストレスが深く関与している。糖尿病をきたすWolfram症候群は、原因遺伝子WFS1を欠損すると膵β細胞が小胞体ストレスに対して脆弱になって発症すると考えられる。我々はWFS1が動脈硬化にも関与していることを見出した。WFS1欠損マウスでは、カフモデルでのネオインティマの形成による動脈硬化と高コレステロールによる動脈硬化のいずれもが促進された。小胞体ストレスが動脈硬化と関わっていることは、小胞体ストレス反応経路の中で重要な位置を占めているCHOPの欠損マウスでも認められた。すなわち、CHOPを欠損するとカフモデルでのネオインティマの形成と高コレステロール血症による動脈硬化はいずれも抑制された。なお、このマウスでは大動脈の細胞接着因子と酸化ストレスが低下していた。骨髄移植実験を試みたところ、特にドナーの骨髄細胞のCHOPが欠損すると、動脈硬化を防止することが判明した。このことから、糖尿病・インスリン抵抗性・メタボリックシンドロームの状態では、膵β細胞のみならず血管壁においても小胞体ストレスが惹起され、さまざまな病態に関与していること、さらにその軽減は、総合的な治療法開発につながる。このように、我々が同定した糖尿病をきたすウオルフラム症候群の原因遺伝子WFS1が欠損すると、動脈硬化の点でも糖尿病・インスリン抵抗性・メタボリックシンドロームに関わることが明らかとなり、WFS1は新たな創薬ターゲットと思われる。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Carotid arterial elasticity is a sensitive atherosclerosis value reflecting visceral fat accumulation in obese subjects.2009
Author(s)
Tokita A, Ishigaki Y, Okimoto H, Hasegawa H, Koiwa Y, Kato M, Ishihara H, Hinokio Y, Katagiri H, Kanai H, Oka Y.
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Journal Title
Atherosclerosis 206
Pages: 168-172
Peer Reviewed
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[Journal Article] Increased insulin demand promotes while pioglitazone prevents pancreatic beta cell apoptosis in Wfs1 knockout mice.2009
Author(s)
Akiyama M, Hatanaka M, Ohta Y, Ueda K, Yanai A, Uehara Y, Tanabe K, Tsuru M, Miyazaki M, Saeki S, Saito T, Shinoda K, Oka Y, Tanizawa Y
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Journal Title
Diabetologia 52
Pages: 653-663
Peer Reviewed
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[Journal Article] Peginterferon(PEG-IFN)plus ribavirin combination therapy, but neither interferon nor PGE-IFN alone, induced type 1 diabetes in a patient with chronic hepatitis C.2009
Author(s)
Ogihara T, Katagiri H, Yamada T, Kudo H, Imai J, Ishigaki Y, Hinokio Y, Yamagiwa Y, Ueno Y, Shimosegawa T, Oka Y.
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Journal Title
Internal Medicine 48
Pages: 1387-1390
Peer Reviewed
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[Presentation] Role of CHOP in oxidative stress and vascular inflammation.2009
Author(s)
Junhong Gao, Hideki Katagiri, Yasushi Ishigaki, Tetsuya Yamada, Shojiro Sawada, Hisamitsu Ishihara, Junta Imai, Kenji Uno, Yutaka Hasegawa, Suguru Yamaguchi, Yoshinori Hinokio, Masataka Mori, Yoshitomo Oka
Organizer
第41回日本動脈硬化学会総会
Place of Presentation
下関
Year and Date
20090716-20090717
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[Presentation] 肥満による延髄孤束核における概日リズムの変調2009
Author(s)
金子慶三, 片桐秀樹, 山田哲也, 荻原健英, 石垣泰, 今井淳太, 宇野健司, 長谷川豊, 澤田正二郎, 高俊弘, 鈴木俊伸, 齋藤徳郎, 突田壮平, 高橋圭, 檜尾好徳, 岡芳知
Organizer
第52回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
20090521-20090524
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[Presentation] 自律神経を介した肝臓-膵β細胞連関による膵β細胞増殖機構2009
Author(s)
今井淳太, 片桐秀樹, 荻原健英, 石垣泰, 山田哲也, 宇野健司, 長谷川豊, 高俊弘, 金子慶三, 鈴木俊伸, 齋藤徳郎, 突田壮平, 高橋圭, 檜尾好徳, 岡芳知
Organizer
第52回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
20090521-20090524
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[Presentation] 膵β細胞におけるATF6α欠損マウスを用いた検討2009
Author(s)
薄井正寛, 石原寿光, 鈴木千登世, 近藤敬一, 丹治泰裕, 冨永竜, 佐竹千尋, 山口賢, 石垣泰, 檜尾好徳, 片桐秀樹, 森和俊, 岡芳知
Organizer
第52回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
20090521-20090524
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[Presentation] 肝からの神経を介した、肥満に伴う高血圧の発症機序2009
Author(s)
宇野健司, 片桐秀樹, 山田哲也, 石垣泰, 今井淳太, 長谷川豊, 高俊弘, 金子慶三, 齋藤徳郎, 鈴木俊伸, 荻原健英, 岡芳知
Organizer
第52回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
20090521-20090524
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[Presentation] IL-6の持つ糖反応性インスリン分泌促進作用とそのメカニズムについて2008
Author(s)
鈴木俊伸, 今井淳太, 片桐秀樹, 荻原健英, 石垣泰, 山田哲也, 宇野健司, 長谷川豊, 澤田正二郎, 高俊弘, 金子慶三, 齋藤徳郎, 突田壮平, 高橋圭, 檜尾好徳, 岡芳知
Organizer
第52回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
20080521-20090524