2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体特性である“ゆらぎ"の新世代人工心臓への応用に関する研究
Project/Area Number |
19209046
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤 芳樹 Osaka University, 医学系研究科, 教授 (00243220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 肇 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (60303939)
松宮 護郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20314312)
上野 高義 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60437316)
倉谷 徹 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (90448035)
藤田 知之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10457012)
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Keywords | 補助人工心臓 / ゆらぎ / 心拍変動 / LF / HF / SDNN / ランジュバン方程式 |
Research Abstract |
ゆらぎを持たない人工心臓が生体の持つゆらぎに及ぼす影響を明らかにできれば、より生理的な人工心臓や回復を促進する制御方法の開発に役立つ可能性がある。左室がUnloadingされた状態での心拍ゆらぎと心機能の関連については明らかにされておらず、本年度は補助人工心臓(LVAS)を装着した患者のデータを長期的に採取し、臨床例におけるゆらぎの解析およびランジュバン方程式を利用したあらたな解析手法を構築した。まず、昨年度までに構築したVPNによる計測システムを用いて、病棟および集中治療室から長期的に収集したデータからLVAS装着患者のゆらぎを解祈した、その結果、従来用いられてきた時問・周波数領域の指標から、健常者と比較して心不全の程度が高度であるほどLF/HF,VLF,SDNN(心拍問隔の標準偏差)の低下が認められ、重症患者ではLVAS装着後にLF/HF,VLF,LF,SDNNの増加が認められた。また、左室がUnloadingされた状態でも心拍ゆらぎとBNP(心不全診断指標)に相関が認められた。つぎに、ランジュバン方程式(離散化:X(t+τ)=X(t)+g(X(t);τ)+h(X(t);τ)Γ(t)、t:任意の計測時刻、τ:おくれ、g(X(t);τ):心拍変動の平均、h(X(t);τ):心拍変動の偏差、Γ(t):ばらつきの係数)を利用した心拍RR間隔解析をあらたに行い、健常者の変動特性g(x)には安定点が二つあるものと一つのものとの2種類が認められるとともに、LVAS装着患者の方が健常者よりもh(x)のばらつきが大きい傾向が得られた。また、g(x)の特性は生体に適合した柔軟な人工心臓制御に役立つ可能性が考えられた。以上から、今後症例を重ねて解析することで低侵襲的にLVAS装着患者の心機能推定に有用と考えられた。
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Research Products
(4 results)