2010 Fiscal Year Annual Research Report
成体由来幹細胞からの三次元心筋組織作製法の開発と臨床応用
Project/Area Number |
19209047
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
川口 奈奈子 (独)国立精神神経医療研究センター, 神経研究所遺伝子疾患治療研究部, 科研費研究員 (10200700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 聡 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60246551)
松村 剛毅 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20297469)
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Keywords | cardiac / stem cell / 再生医療 / 心臓 / 培養 / characterization / IGF-1 / 心筋 |
Research Abstract |
今年度は、最終年度に相当するので、これまでの研究成果を公表していくことに重点を置き、論文発表、ならびに学会報告を行った。心臓の再生医療研究のため、従来は、c-kitの発現にのみ注目して幹細胞を分離選択していたが、c-kit陽性細胞を、さらにGATA4の発現レベルの大小に分け、心筋細胞への分化能、および、共培養した成体心筋細胞への延命効果に違いを及ぼすか否かを比較検討した。GATA4の発現が高いと、これら両方に良好な効果があることが明らかになった。したがって、GATA4の発現が高い心臓由来幹細胞が再生医療に有効であると結論された。さらに、心筋細胞への延命効果に関するシグナル伝達系について検討したところ、IGF-1が重要であること、および、その下流のAktがリン酸化されることが重要であることも分かった。このことをウェスタンブロットなどにより、確認した。一方、我々が樹立した左心房由来幹細胞(LA-PCs)を用いて、未分化細胞、脂肪細胞分化細胞、骨格筋・心筋分化細胞の間でマイクロアレイ解析を行い、TGF-β,Wntシグナル系が有意に変化していること、これらの分子が脂肪細胞分化を抑えて、筋分化を誘導すること、さらに、nogginが心筋細胞を多く形成する働きを有することを示した。今後、この研究により、有効であると分かった分子を用いて、心臓の中に存在する幹細胞を利用した心臓の再生医療の発展に結びつけられると期待される。以上の結果を、合計6本の原著論文、2つの国際学会に発表した。
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