2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼ反応を介する生体防御システム制御の分子基盤の確立と臨床応用への展開
Project/Area Number |
19209058
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健二 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 特任教授 (40091326)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川久保 友世 九州大学, 大学院・薬学研究院, 特任助教 (70507813)
|
Keywords | 歯学 / 蛋白質 / トランスレーショナルリサーチ / 発現制御 / 薬理学 / 癌 / 免疫学 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
本年度は、(1)前年度に引き続き、正常マウスならびにカテプシンE(CatE)欠損マウスからマクロファージをそれぞれ調製し、エンドリソソーム系蛋白質分解システムの性状や機能に及ぼすCatE欠損の影響を解析した。その結果、CatE欠損がオートファジーというエンドリソソーム系蛋白質分解システムのオートファジーに破綻を生じさせることが明らかになった。これは、細胞内ATPレベルの低下、ミトコンドリア膜電位の脱分極、およびミトコンドリア酸素消費量の低下などのミトコンドリアの機能不全が酸化ストレスの増大を誘導し、結果として宿主の免疫反応に異常を引き起こす原因になることが明らかとなった。(2)悪性腫瘍の発症・転移機構におけるCatEの役割を明らかにするために、ヒト由来の前立腺がん細胞ALVA-101にCatEを過剰発現させた場合とそうでない場合の細胞増殖能や悪性度の比較を行った結果、CatEの発現が癌細胞増殖た肺転移を強く抑制することがわかった。また、(3)臨床応用されている各種抗癌剤との併用効果を調べた結果、CatEは抗癌剤ドキソルビシンに耐性を有する前立腺癌細胞を相乗的に細胞死にゆうどうすることがわかった。(4)cDNAディスプレイ法に基づく蛋白質高速分子進化技術を使って、CatEに親和性を有する活性化を誘導する医薬シーズとしてのペプチドアプタマーを数種類取得した。現在、これらの特異性や活性化能を高めるための高品質化が図られている。(5)P. gingivalis由来GingipainsはRgpとKgpの2種類の酵素から成っている。これらは協調的に働きながら、宿主に対しては強力な病原性を、菌自身には生存戦略に必須の様々なプロセスを担っていることが明らかにされている。そこで、RgpとKgpを同時に阻害する特異的な二元性阻害剤を世界に先駆けて開発し、それらの性状と臨床応用への可能性を示唆した。
|