2007 Fiscal Year Annual Research Report
アンコール遺跡・バイヨン寺院浮き彫りの保存方法の研究
Project/Area Number |
19251001
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
沢田 正昭 Kokushikan University, 21世紀アジア学部, 教授 (20000490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 悦生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40185020)
片山 葉子 東京農工大学, 共生科学技術研究科院, 教授 (90165415)
中川 武 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30063770)
池内 克史 東京大学, 情報学環, 教授 (30282601)
下田 一太 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (40386719)
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Keywords | カンボジア / バイヨン / 鉱物劣化 / 着生微生物 / 保存科学 |
Research Abstract |
1)本年度は浮彫りの着生物を同定するために,石材表面色のスペクトルを計測するシステムを開発した。このシステムでは二次元画像の画素ごとに観測光のスペクトルを100次元(4nm毎)で記録することが可能である。初回調査では,着生物の繁茂が激しい内回廊の北東部,南東部,南西部の三箇所で実施した。2)浮き彫りの現状記録では,石材表面の着生生物の経時変化を追うことを目的に,デジタルカメラによる撮影を行った。さらに詳細な分布変化を測定するために内回廊北面東側において色スペクトルデータを採取した。3)内回廊における砂岩材含水率の年変化調査では,砂岩材の劣化と含水率との関係を明らかにするため内回廊の東西南北四面の典型的な場所計64地点において1ケ月ごとの定期測定を実施している。砂岩材の劣化は、回廊背部に充填物がある場合に顕著に生じることが明らかになってきた。4)イオウ酸化微生物と従属栄養微生物、イオウ酸化真菌の菌密度の経年変化をみるため、13箇所から培養用の試料採取。また、石材表面の微生物群集を構成する種の系統学的な位置を明らかにするために16箇所から計784枚の試料を採取し,計測・解析を進めている。5)脆弱石材の基質強化剤を開発するため、試験体(直径40mmX100mm)を96点作成し、石材の強化剤(シラン系モノマー、オリゴマー)および擾水剤、それらの混合比を変えて調製した保存材料合計7種類、擾水剤2種による強化処理を行い、バイヨン寺院の内回廊と外回廊の問で暴露試験を開始した。
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